弁護士は相談料として愛を請求する

「……どうして事前に連絡してくれないのよ。いっつもこういうのやめてくれる?」

「倉田先生は随分と口が悪いですね」

「あのね!」

 大きな声を出したら、職員室にいる先生方がこちらを一斉に向いた。まずった。園長が立ち上がって迎えた。

「ああ、古川先生ですか?早かったですね。ちょっとお待ちください」

 そう言うと、先生方を集めてのんを紹介しだした。みんな目をキラキラさせて見ている。どこのイケメンって聞かれても……。ただの幼馴染みです。

「今までも保育園では保護者やそれ以外の方からのいろいろな問題をそれなりに対応してきましたが、最近はコンプライアンスやセクシャルハラスメントなど法に触れる問題が多く、適当にするとよくないと思い、倉田先生の幼馴染みである古川弁護士にご協力頂くこととなりました。先生どうぞご挨拶ください」

 のんは、見たことのないような鮮やかな微笑みを浮かべて、それは弁護士らしく話し出した。
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