弁護士は相談料として愛を請求する

「もちろんわかってます。彼は何もしません。安心して下さい」

「そうか。ありがとう。でも、君には強い味方がいるんだね。よくわかったよ。じゃあお疲れ様」

 そう言って重田先生はそそくさと出て行った。ため息しか出ない。つまり、のんが遠回りに重田先生へ注意してくれたんだね。それにしても私に恥ずかしい思いをさせるとか、あいつめ。

 部屋を出ると、囲まれていたのんが私に気づいたのか、周りの女性保育士に笑顔で手を振り、私の方へやってきた。私はじろりと睨んだ。

「何だよ?解決しただろ。お前がどうやって付き合うか悩まなくても、あっちから謝ってきただろ?」

「……のん、ちょっと勝手に何をみんなの前でさらしてくれてるのよ」

「何をって事実を話したんだろ?騙されやすいお前のためにそうならないように予防線まで張ってやった。感謝しろよ」

 むー。何なのよ!すると急に社交辞令のような微笑みを浮かべて丁寧に話し出した。この人誰?
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