弁護士は相談料として愛を請求する
「とにかく聞いて。合コンのあとその人が駅へ送ってくれるって言うから、一緒に帰ったの。着いたところが駅じゃなくてホテル街だったの。酷いと思わない?」
「すず……お前、はあ……」
「だって、駅へ向かうはずだったのに、駅じゃなかったんだよ!」
「そんなよくある連れ込みの手口にも気づかないってお前本当に……」
のんは頭を抱えてテーブルに突っ伏した。
「そんなのいつもあるわけじゃないでしょ。それに、友達から始めてくれるって言ったんだよ。運が悪かったのかな……」
「それならせめて紹介や知り合いから選ぶとかあるだろう。合コンなんて……お前は男の見分けもつかないから無理。馬鹿にもほどがある」
低い地を這うような声。前は向いたまま。
「わかってる。私は時間をかけてお付き合いしてからじゃないと親しくなれないし、ましてや身体の関係とか絶対無理。初めては一応大切にしたい。だからのんにいつも教えられていた所を……蹴っちゃった。それで逃げてきたの。えらいでしょ?」
「大体、この間もLIMEで紹介された奴に後ろから急に抱きしめられたとか……言ってなかったか?」