弁護士は相談料として愛を請求する
「それは、抱きしめられそうになって肘を使って逃れたよ。のんに言われたとおりの痴漢対処法。あ、その人は痴漢じゃないけどね」
「すずは一体何をしたいんだ?」
「彼氏は無理でも……せめてのんの代わりになる男友達を作りたいと思ったの。最近はようやく仕事上で関わる男性とも普通に話せるようになったから……」
「男友達か彼氏を作る?お前、意味わかってるんだよな?」
「わかってるよ。一応……」
グラスのお酒を一気飲みしたのんが、じろりと私を睨んだ。
「わかってる、へえ……。彼氏って言うのはな、手を繋ぐだけじゃない、抱きしめられたりしてもなぐったり逃げちゃいけないんだぞ。お前の全部をやるんだぞ」
光る目を見て、私は固まった。
「それは……」
「その彼氏とならホテルに行くってことだぞ。いいのか、全部やっても?」