弁護士は相談料として愛を請求する
吹田さんはそう言って、急に私の肩を抱き寄せて歩き出した。警戒していたせいだろう、吹田さんに触られると身体の中から拒絶反応が出て一気に気持ち悪くなった……。
私は足が震えて止まってしまった。すると先ほどの黒い服に帽子を被った男性が私を見て声をかけてきた。
「倉田先生、おはようございます」
見ると、帽子の下のメガネをそっと外した。のん!?どういうこと?
「……え?の、のん……どうして……」
「倉田先生、どなたです?お知り合いですか?」
「あ、あの、彼は……」
「ああ、初めまして。私は保育園の担当弁護士で倉田先生の幼馴染みの古川と申します。僕も偶然小さな甥っ子に頼まれて今日来たんです。まさか、一緒になるとは思いませんでしたけど」