弁護士は相談料として愛を請求する

「無理だよ。触れられるとか触れるとか、やっぱり彼氏なんていらない……」

 考えるだけで吹田さんの事を思い出して気持ち悪くなった。顔を覆った。

「すず、落ち着け。ごめん、俺の言い方が間違ってた。もう考えるな、また震えてる。大丈夫だ。もう何も起きない。側にいるから……」

 のんが背中をさすってくれた。しばらくして落ち着いてから、のんに聞いた。

「ねえ、どうして今日はここに来たの?誰に聞いたの?もしかして朝からいたの?」

 のんは腕組みをして前を向いた。眉間にしわが見える。

「木村さんから連絡があって、お前から相談があったかと一昨日聞かれた」

「やっぱり志穗……」

「それだけじゃない。昨日、菅原先生という人からも相談があった。取引先の人が研修で一緒に出かけると好意の裏返しなのかもしれないが最近ボディタッチがある。セクハラかもっていうんだ。彼女は既婚者だというし、何だろうと思ったら案の定お前のことだった。何故、本人が相談してこないんだ?」
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