弁護士は相談料として愛を請求する
私が何も返事をしないのを見て、すぐに前を向いて眉間にしわを寄せて黙ってしまった。別なお酒を頼む彼を横目で見ながら、彼に向かって言った。
「あ、相談は保育士の同僚重田君のことよ。蹴った相手、重田君の友達だから、どうやって話したらいいか迷っていて……」
しばらく黙っていた彼はようやく私の方を向いた。怖い目だ。
「……すず」
「な、なに?」
「俺は今、何の仕事をしているか知っているか?」
「え、えっと弁護士でしょ?」
「そう。弁護士ってどういう仕事か知っているか?」
「弁護士……えーっと、裁判の弁護とか、あ、困ったときの法律相談とか?」
あ、倒れた。頭を覆って前に倒れた。
「どうしたの?大丈夫?飲み過ぎじゃない?」