弁護士は相談料として愛を請求する

「美保先生……」

 心配してくれていたんだ、美保先生。嬉しくて涙が出そうになった。

「みんな、自分できちんとできないお前を真剣に心配してだな……」

「……うん」

「まあ、あの菅原先生はなかなかやるな。お前のことよく見てるんだな。すずが男苦手でしかも取引相手に強く出られないんじゃないかって言ってた。取引先だし念のため慎重に先に相談したそうだ」

「そうだったのね。いずれは頼らないで自分で何とかしないとダメだと思っていたからいい機会だと思ったの。今日告白されるにしろ、そうじゃないにしろ、キチンと断ろうと思ってきたの。相変わらずダメダメだったけどね……」

「顧問契約結んでるからこういうことの相談料はいらない。普通に頼れよ。吹田って、以前相談受けた奴だろ。その時断り方もアドバイスしたはずだ。それがどうしていつの間にか出かけるのが三回目になってんだ?」

 ほらね、怒られた。回数のこと、志穗が全部教えたのかな。
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