弁護士は相談料として愛を請求する

「大体、すずは最初俺にあいつのことを相談してから、その後について一切報告がなかったよな。ろくな結果になっていないんじゃないかと危惧していたとおりだった」

 怖すぎる、のん。そこまで気づいてたの。

「のん、よく覚えてたね、吹田さんの話……だって、相談したの一年近く前だよ?」

「俺は今までお前にしたアドバイスとその後についてはキチンと管理していた。だから、報告、連絡しないなら相談には乗らないと最初言ってあったよな。ほう(報告)、れん(連絡)、そう(相談)、は社会人の基本だと教えたはずだが?」

 ビシッと人差し指を私の前に指した。確かに報告してなかったよ、報告したら怒られるから。

「だって、のんに言われたとおり言って断ったんだけど、聞こえないふりされたの。翌週マカロンとケーキを園に差し入れされて園長も味方につけて、出かけるのを社外研修にしちゃったりとかされて、その……」

「お前たちは餌付けされた猫か!」

「だからね、園長に行きなさいって言われて断れなくなったの……」
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