弁護士は相談料として愛を請求する

「あほはどっちだ、あほすず。仕事をほっぽってここまで来たんだ、心配かけさせやがって。とりあえず、交通費を頂く」

 そう言うと噛みつくようにキスをしてきた。

「……ん、ん、あ……」

 私はこのままじゃいけないと思って、とにかくのんの胸を叩いた。

「……っぷは。のん、いい加減にして。何なのよ?」

「何なのよ?今のキスは交通費の代わりにもらった。急だったから仕事のやりくりがどれだけ大変だったかお前にはわからないだろ?」

「そんなこと私頼んでない!来てほしいなんてひと言も言ってないよ!」

「じゃあ、聞く。あのまま、アイツに夜まで連れ回されて、夜景の見える高台あたりでキスでもされて、すずはそれで逃げられるとでも思っていたのか?お前、三回もあいつについて行ったんだぞ。言い訳できるのか?」
< 64 / 243 >

この作品をシェア

pagetop