弁護士は相談料として愛を請求する

 そっと頭に手をやって、私の顎を持ち上げた。

「すず」

「……なに?」

「俺がいる」

「え?」

「すずにはいつも俺がいる。心配するな。大丈夫だ」

 そう言うと、唇を重ねて優しく微笑んだ。また、頭を撫でた。

 キスを普通にしてくるのん。私達は幼馴染だけど恋人?聞けないままこんなのダメだ。こんなことばかりしてるからいつまで経っても私……。

 のんは黙って運転していた。お互いどうしていいかわからない距離感だった。のんは私を家の前で降ろした。

「じゃあな。少しゆっくり休め。何かあれば連絡しろ」

 彼は急いで仕事へ行ってしまった。
< 66 / 243 >

この作品をシェア

pagetop