弁護士は相談料として愛を請求する
「わかるよ。志穗はのんと距離を置いた方がいいって言ってるんでしょ?社交性のない私にのんの彼女なんて無理だもん」
「そんなことないよ。望君が守ればいいんじゃないの?すずは望君に別な女の人が出来ても今でも平気?」
のんと関係を持った日から、のんが今までとは違う男性に見える。この間も優しくキスされると嬉しい自分をあざむけなかった。
のんに他の女性が出来て、この間みたいなことをその人とすると考えただけで泣きたくなる。平気なはずない。
「……平気、じゃないけど、私……」
下を向いて話す私を見て、志穂は黙って食べ始めた。いつものデザートプレートと紅茶が出てきたころ、志穂が言った。
「そういえばさ、私と涼のことなんだけどね……」
「あ、うん、何?ごめん、私のことばっかりで……」
「涼が病院を移る可能性があってね、千葉のほうの病院に行くかもしれないの。そうすると遠距離になってしまうから、私ちょっと悩んでるんだ。付き合いだしたのに離れるのは意味がないなって思っていて……」