弁護士は相談料として愛を請求する

「失礼な。ケチじゃなくて考えていると言ってほしい」

「はい、はい。わかりましたよ」

「でも、その志穂の話はいつごろになりそうなの?私、志穂いなかったら生きていけないよ」

 志穂が机に頭を突っ伏した。

「……あんたね。二十五歳の女が言うこと?別に海外へ行くわけでも、Wi-Fiが届かない僻地に行くわけでもないんだから、それくらい我慢しなさい。私だってさみしいんだぞ、これでも」

「本気なんだね、志穂。転職するの?」

「そうねえ。ちょっと考え中。この仕事、結構取材も多いし、先々難しいかと思ってたしね」

 先々。つまり、涼君と結婚して子供ができてからの事だよね。きっと。

「頑張ってね。応援する」

「うん、ありがと。すずも望君とそういうことするときは今度こそきちんと確認しなさい。流されるとだめだよ」

「……うん」

 頭ではわかってる。でも……きっと求められることはもうないだろう。
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