その瞳に映るのは
 * * *


 振り返った帷くんの真剣な眼差しに見とれていると、いきなり帷くんにぎゅっと抱きしめられた。



「良かった、無事で。マジで心臓止まるかと思った」華奢だけれど、かたくて大きな帷くんの体に包まれて、ほっとして私も抱きついてしまう。



「帷くん、あの女の子達、もういいの?」少し体を離しながらそう尋ねると、帷くんは「当たり前でしょ。かれんちゃんより大事なことなんてないよ」と困ったように眉を下げて言ってくる。



「かれんちゃん、今から大事なこと言うからしっかり聞いてね。俺、かれんちゃんが好きだよ。初めて会った時から放っておけなくて、お世話していくうちにどんどん惹かれていった。この仕事してると色々誤解されたりもするかもしれないけど、俺が大切にしたい女の子はかれんちゃんだけ。もちろん、流れてるSNSの熱愛のやつも、根も葉もないデマだから」帷くんの透き通った碧い目に、驚いた私の顔がうつる。



「うそ、みたい……。私も、帷くんが、好きだよ」そう恐る恐る私も告白をすると、帷くんはこれまで以上に優しい笑顔でまた私を強く抱きしめた。



「やっとつかまえた。俺だけのお姫様」ささやくように耳元で告げられた言葉を噛みしめながら、私も帷くんを抱きしめ返した。




(了)

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