初恋婚〜幼馴染のエリート同期と離れられなくなりました~
「ここはずっと昔に神社としての役目を終えたらしい。俺たちが生まれる前に」
「そうなの!?」

「あぁ。だから神様はいないはずだったんだけどな」
俊介は首を傾げながら石段を登る。

優莉奈もそれに続いた。
鳥居の前で立ち止まり、ふたりで一礼してから境内へ足を踏み入れた。

一歩そこに足を進めただけで体にまとわりつく雰囲気が変わった。
空気の密度が濃くて、肌寒さを感じる。

それに太陽の光が届かなくて一気に陰りを帯びた。
「寒い」

優莉奈は自分の体を抱きしめて身震いをした。
体感温度も低くなったと思うけれど、それ以上に境内の重苦しい雰囲気がそう感じさせているように思う。

「早く行こう」
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