初恋婚〜幼馴染のエリート同期と離れられなくなりました~
「大人の恋愛ってどうして簡単じゃないんだろうな」
不意に俊介がそんなことを言うので吹き出してしまいそうになった。

「どうしたんですか谷川さん。やっぱり、恋人と上手く行ってないんですかぁ?」
「なかなか難しいよな、大人になると好きってだけじゃダメになってくるの、なんでだろうなぁ」

「なんか難しいですねぇ? 哲学みたいで」
マイちゃんは真剣な表情で答えているけれど、実際はなにも考えていなさそうだ。

「頭で恋愛するからじゃない? 結局損得勘定とかしちゃってるのかも」
そう言ってから優莉奈は自分もそうかもしれないと思い当たる。

一樹の部屋を掃除したときだって、掃除しただけで帰されたことに憤りを感じた。
その扱いはないんじゃないかと思った。

それは結局、自分にとってメリットがあるかどうかで物事を見ていたからだろう。
「でも、損得考えて動かないと相手のいいように扱われて終わるんだよな」
< 133 / 179 >

この作品をシェア

pagetop