初恋婚〜幼馴染のエリート同期と離れられなくなりました～

「そ、それにほら、私だって一樹さんがいるんだし」
こんなときに名前を出して申し訳ないと思うけれど、そうでもしないと梓ちゃんは納得してくれそうにない。

「そうですよね。小野木さんが相手なら勝ち目なんてないですもんね」
それじゃあまりにも俊介が可哀想だと思ったけれど、優莉奈は笑顔を貫いた。

「わかりました。とにかくふたりの関係はなんでもないってことですよね？」
「そう！　そうだよ、なんでもないよ！」

「じゃあ、みんなにもそう説明しておきます」
みんな？

ハッと気がついて周辺から感じる視線に振り返る。
彼ら、彼女たちはみんな梓からなにかしら相談を受けた人たちだったようだ。

やけに視線を感じると思っていたら、そういうことか。
「でも私、正直川谷さんのことが好きなのかどうかまだわかりません」