初恋婚〜幼馴染のエリート同期と離れられなくなりました~
上司の言葉に周囲からパソコンを叩く音が消える。
優莉奈も一旦手を止めて座ったまま体ごと上司へ向けた。

「今日から弊社の手伝いに来てくれた谷川くんだ」
「はじめまして、谷川です」

お辞儀をするその男性は一樹と同じくらい背が高く、笑顔が可愛らしい印象の人だった。
上司の紹介によると谷川くんは系列の大阪の会社で優秀な成績を収めたため、さらなる勉強を兼ねてここへやってきたのだそうだ。

いわば、エリートだ。
「谷川くんの席は中宮さんの隣で」
そう言われて優莉奈は自然と背筋を伸ばした。

マイちゃんとは逆側の席がたしかに開いている。
だけどここに男性社員が座ることになろうとは思っていなくて緊張した。
「谷川です。よろしくお願いします」

礼儀正しく挨拶してくる谷川に優莉奈も頭を下げた。
「中宮です」
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