初恋婚〜幼馴染のエリート同期と離れられなくなりました~
家の中のものをすべて積んだトラックが無情にも走り去っていくのを見て、また涙が溢れ出した。
「俊介くんと一緒にいるんだもん! 優莉奈は引っ越ししないもん!」

「そんなこと言っても優莉奈ひとりで生きていくことはできないのよ?」
「俊介くんのお嫁さんになるからひとりじゃないもん!」

頑なにその場を動こうとしない我が子にしびれを切らしそうになった、その時だった。
「優莉奈ちゃん!」
トテトテと走ってくる足音。

ハッと振り向くと、そこには俊介の姿があった。
「俊介くん!」
優莉奈はすぐに立ち上がって俊介の元へ走った。

俊介は息を切らして優莉奈と手を繋ぐ。
「間に合って……よかった」

俊介と優莉奈の家は近所だけれど、子供の足では少し遠い。
優莉奈が引っ越してしまうと聞いて、慌ててやってきたのだ。
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