初恋婚〜幼馴染のエリート同期と離れられなくなりました~
「今度ふたりで食事でもどう?」
「しょ、食事ですか?」

思わず声が裏返ってしまう。
もちろん嫌なわけがない。

だけどこうして一樹と会話している間にも女子社員たちからの視線が突き刺さってくる。
本当に一樹と食事へ行くことになったら陰口くらいは言われるだろう。

「俺とは行きたくない?」
「そ、そんなことはないです。でも、小野木さんは人気者だから、みんなの視線が痛いというか……」

正直でそう言うと、一樹は他の女性社員へ視線を向けた。
それだけで彼女たちの目はハートになる。

一樹が軽く手を振って見せるとキャー! と黄色い声が上がった。
まるでアイドルだ。

こんなにも人気ある一樹と自分が釣り合うとはとても思えない。
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