初恋婚〜幼馴染のエリート同期と離れられなくなりました~
「俊介くん、私引っ越ししたくない!」
俊介の顔を見るとまた涙が溢れ出した。
もうすでに体内の水分はすべて出し切ったくらいには泣いているのに、まだ涙は止まらない。

何度もしゃくりあげて泣きながら滲んだ視界で俊介を見つめる。
俊介はそんな優莉奈を見て悲しそうな表情をしていたけれど、やがてパッと笑顔になった。

そして優莉奈の耳に自分の顔を近づける。
俊介が優莉奈になにかを耳打ちしたその瞬間、優莉奈の涙は引っ込んでいた。

「ね? だから、大丈夫だよ」
俊介が顔を離して優莉奈へ微笑みかける。

その笑顔を見ていると、優莉奈もだんだん大丈夫な気がしてきた。
ついさっきまで泣いていたのに今はもう涙はほとんど引っ込んでいた。
「うん!」

やがて笑顔になって頷く優莉奈。
「じゃあ、またね」
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