神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜
…。
…俺に聞くのか?
「いや…。別に何も気づいてないけど…」
「本当に?」
「…何でそんなこと聞くんだ?」
俺、何かに気づいたような顔してたか?
何も気づいてないんだが?
「…杞憂だとは思うんだが、前、ベリクリーデが…」
「ベリクリーデ?」
「あぁ。ベリクリーデがこの間この部屋に入ったとき、妙なことを言ってたのが気になってな」
…妙なこと…?ベリクリーデが?
「ベリクリーデ自身もよく分かってないらしくて、要領を得ない様子だったんだが…。いや、まぁあいつはいつもそうだけど」
「…」
「もしかして…神の器にしか分からない何かを感じ取ったのかもしれないと思ってな」
…成程。
ベリクリーデと同じく、神の器である俺なら。
ベリクリーデが感じ取った何かを、俺も同じように感じるかもしれないと思ったんだな。
「羽久…。…どう?」
シルナが心配そうな顔で、俺に尋ねた。
…どう、って言われてもな…。
俺は神経を集中させ、注意深く執務室の中を見渡した。
本当にベリクリーデが何かを感じ取ったのなら、俺にも同じことが出来るはず…なのだが。
…生憎俺は…「羽久・グラスフィア」は、ベリクリーデほど優秀な神の器ではない。
「…悪い。俺にはよく分からない」
紛い物の俺では、ベリクリーデと同じようには行かない。
「『前の』俺だったら、何か分かったのかもしれないが…」
「そうか…」
「…なんか、その…済まん」
「いや、あんたが悪い訳じゃねぇから。変なこと聞いて悪かった」
俺がもっと「優秀」な神の器だったらな。
ベリクリーデが感じたという違和感(?)を、上手く言葉に出来たのかもしれないが…。
誠に不甲斐ないばかりである。
…しかし、ベリクリーデは一体何を感じ取ったんだろうな…?
それに…ベリクリーデが何かを感じたってことは、シュニィを連れ去ったのは…。
もしかして…神にまつわる何かなのだろうか?
ますます犯人が分からなくなってきた。
同時に、令月やルイーシュの言ったことが…俺達が見当違いなところばかり探しているというあの言葉…が、いよいよ現実感を伴ってきた。
俺達は、こんなところを探していて良いのだろうか…。
「…シルナ、どう思う?」
「うーん…。分からない…。正直私もお手上げだよ…」
シルナでさえ、思い当たる節がないと言う。
いよいよもって切羽詰まってきた。
「参ったな…。ここまで来て手ぶらなんて…」
「…」
「ねぇナジュ君。君もそう…」
「…」
「…ナジュ君?」
シルナが呼びかけても、ナジュは何故か明後日の方向を向いてぼんやりしていた。
…俺に聞くのか?
「いや…。別に何も気づいてないけど…」
「本当に?」
「…何でそんなこと聞くんだ?」
俺、何かに気づいたような顔してたか?
何も気づいてないんだが?
「…杞憂だとは思うんだが、前、ベリクリーデが…」
「ベリクリーデ?」
「あぁ。ベリクリーデがこの間この部屋に入ったとき、妙なことを言ってたのが気になってな」
…妙なこと…?ベリクリーデが?
「ベリクリーデ自身もよく分かってないらしくて、要領を得ない様子だったんだが…。いや、まぁあいつはいつもそうだけど」
「…」
「もしかして…神の器にしか分からない何かを感じ取ったのかもしれないと思ってな」
…成程。
ベリクリーデと同じく、神の器である俺なら。
ベリクリーデが感じ取った何かを、俺も同じように感じるかもしれないと思ったんだな。
「羽久…。…どう?」
シルナが心配そうな顔で、俺に尋ねた。
…どう、って言われてもな…。
俺は神経を集中させ、注意深く執務室の中を見渡した。
本当にベリクリーデが何かを感じ取ったのなら、俺にも同じことが出来るはず…なのだが。
…生憎俺は…「羽久・グラスフィア」は、ベリクリーデほど優秀な神の器ではない。
「…悪い。俺にはよく分からない」
紛い物の俺では、ベリクリーデと同じようには行かない。
「『前の』俺だったら、何か分かったのかもしれないが…」
「そうか…」
「…なんか、その…済まん」
「いや、あんたが悪い訳じゃねぇから。変なこと聞いて悪かった」
俺がもっと「優秀」な神の器だったらな。
ベリクリーデが感じたという違和感(?)を、上手く言葉に出来たのかもしれないが…。
誠に不甲斐ないばかりである。
…しかし、ベリクリーデは一体何を感じ取ったんだろうな…?
それに…ベリクリーデが何かを感じたってことは、シュニィを連れ去ったのは…。
もしかして…神にまつわる何かなのだろうか?
ますます犯人が分からなくなってきた。
同時に、令月やルイーシュの言ったことが…俺達が見当違いなところばかり探しているというあの言葉…が、いよいよ現実感を伴ってきた。
俺達は、こんなところを探していて良いのだろうか…。
「…シルナ、どう思う?」
「うーん…。分からない…。正直私もお手上げだよ…」
シルナでさえ、思い当たる節がないと言う。
いよいよもって切羽詰まってきた。
「参ったな…。ここまで来て手ぶらなんて…」
「…」
「ねぇナジュ君。君もそう…」
「…」
「…ナジュ君?」
シルナが呼びかけても、ナジュは何故か明後日の方向を向いてぼんやりしていた。