神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜
「何を…馬鹿なことを」
マシュリさんは私の手を取ることなく、視線を彷徨わせながらそう言った。
そうですよね。
分かりますよ。…私もそうでしたから。
学院長先生やアトラスさんに会うまでは、私もマシュリさんと同じように考えていました。
自分に居場所なんて出来るはずないと。
どんなに優しい言葉で慰められても、そんなの単なる綺麗事に過ぎないと。
信じられないんですよね。
でも、大丈夫です。
大丈夫なんです。
「ルーデュニア聖王国に来てください。私も、学院長先生も、その他の私の仲間達も…あなたを怖がったり、気味悪がったりしません」
胸を張って、そう断言出来る。
アルデン人である私を、ほんの少しも奇異の眼差しで見ることがなかった彼ら。
私を受け入れ、居場所を作り、温かく迎え入れてくれた彼ら。
彼らの中にいれば、マシュリさんが傷つけられる心配はない。
「どうか信じてください。世の中には私達のようなはみ出し者を、受け入れてくれる優しい人達がいるんです」
簡単には信じられないかもしれないけど、でも信じてください。
「彼らなら、あなたを傷つけはしません。あなたの帰る場所に…あなたの居場所になってくれるはずです」
私にとって、そうだったように。
マシュリさんにとっても、心休まる居場所になるはずだ。
きっとそうなる。確信がある。
何せ学院長先生方は、自分を暗殺しに来た異国人の暗殺者まで、温かく迎え入れるような方なのだから。
人間とケルベロスのキメラ?罪人?…それが何だと言うのだ。
例えどんな姿であろうとも。
「あなたは人間です。紛れもない、私達と何ら変わらない人間なんです」
私達と同じように、孤独に苦しみ。
居場所を求めて彷徨い、傷つけられることに怯え、健気に命令に従っている。
全ては、心にぽっかりと空いた穴を埋める為。
なんと「人間らしい」感情じゃないか。
バケモノなんかじゃない。
「どうか、自分の姿を憎まないでください。あなたが自分を許せなくても、マシュリさんは紛れもなく…」
「…前も、同じようなことを言われたよ」
「…え?」
マシュリさんは、悲しいような困ったような…泣き笑いの表情を浮かべてそう言った。
マシュリさんは私の手を取ることなく、視線を彷徨わせながらそう言った。
そうですよね。
分かりますよ。…私もそうでしたから。
学院長先生やアトラスさんに会うまでは、私もマシュリさんと同じように考えていました。
自分に居場所なんて出来るはずないと。
どんなに優しい言葉で慰められても、そんなの単なる綺麗事に過ぎないと。
信じられないんですよね。
でも、大丈夫です。
大丈夫なんです。
「ルーデュニア聖王国に来てください。私も、学院長先生も、その他の私の仲間達も…あなたを怖がったり、気味悪がったりしません」
胸を張って、そう断言出来る。
アルデン人である私を、ほんの少しも奇異の眼差しで見ることがなかった彼ら。
私を受け入れ、居場所を作り、温かく迎え入れてくれた彼ら。
彼らの中にいれば、マシュリさんが傷つけられる心配はない。
「どうか信じてください。世の中には私達のようなはみ出し者を、受け入れてくれる優しい人達がいるんです」
簡単には信じられないかもしれないけど、でも信じてください。
「彼らなら、あなたを傷つけはしません。あなたの帰る場所に…あなたの居場所になってくれるはずです」
私にとって、そうだったように。
マシュリさんにとっても、心休まる居場所になるはずだ。
きっとそうなる。確信がある。
何せ学院長先生方は、自分を暗殺しに来た異国人の暗殺者まで、温かく迎え入れるような方なのだから。
人間とケルベロスのキメラ?罪人?…それが何だと言うのだ。
例えどんな姿であろうとも。
「あなたは人間です。紛れもない、私達と何ら変わらない人間なんです」
私達と同じように、孤独に苦しみ。
居場所を求めて彷徨い、傷つけられることに怯え、健気に命令に従っている。
全ては、心にぽっかりと空いた穴を埋める為。
なんと「人間らしい」感情じゃないか。
バケモノなんかじゃない。
「どうか、自分の姿を憎まないでください。あなたが自分を許せなくても、マシュリさんは紛れもなく…」
「…前も、同じようなことを言われたよ」
「…え?」
マシュリさんは、悲しいような困ったような…泣き笑いの表情を浮かべてそう言った。