神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜
――――――…その頃。

学院長室で、学院長せんせー達が俺達の秘密を勘付き始めている…とも知らず。

ツキナ含む女子生徒達数人は、園芸部の倉庫の中に集まっていた。

そこには、銀色の毛並みを持つ猫が、金の猫缶をガツガツ頬張っていた。

連日同じ餌買ってきてるんだけど、飽きてないのかなぁ。

「可愛いねぇ」

「よしよし。美味しい?」

「いっぱい食べてね」

「元気になって良かったね〜」

女子生徒達は猫を囲んで、満面の笑み。

ツキナも、それを見てにっこにこ。

思わず俺もニヤけそうになるのを、必死に我慢しなければならなかった。

危ない危ない。 

猫が餌を食べ終えると、女の子達は猫の頭を撫でたり、喉をゴロゴロしたりと可愛がっていた。

それなのにこの猫、ちっとも嫌がる様子を見せない。

警戒心ゼロだよ。

本当に野良猫か?

もしかして、人に飼われていた経験があるのでは?

「…それにしても…」

と、『八千代』が言った。

「…その猫、これからどうするの?」

「…」

猫を撫でる手が止まってしまった。

皆が思っていながら、敢えて考えないようにしていたことを口にした。

…『八千代』ってば。

気持ちは分かるけど、それを言っちゃったらおしまいだよ。

ツキナの顔が曇っちゃうから、そーいう余計なことは言わなくていーんだよ。

…まぁ、俺も思ってたんだけどさー。
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