神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜
「…何言ってんの?お前…」

「魔物が犯人だ」

「…いや…」

そりゃ…実行犯は魔物なんだろうけどさ。

でも、その魔物に指示を出した召喚魔導師がいるはずで…。

「魔物を捕まえよう、ジュリス。三つ首のわんこだよね?」

「いや、それは『カタストロフィ』のときに戦った相手であって、今回もそうとは限らないだろ」

しかも、わんこじゃねーから。

そんな可愛らしい生き物ではなかったよ。断じて。

お前、自分が食べられそうになったのに覚えてないのか。

覚えてないんだったな。ごめん。

「わんこ、わんこ…。どうやったら見つかるかな?」

「だから、わんこじゃないって…」

「うーん。多分そんなに遠くにはいないと思うよ。よし、探そう」

「ちょ、おま。待てって」

ベリクリーデは、探険隊感覚で歩き出してしまった。

エリュティアが探しても見つからないのに、そんな探し方で見つかると思ってるのか?

「まずは、この魔導隊舎を隅々まで探そう。砲台もと暗し、って言うもんね」

「灯台な、灯台」

これまで2週間近く、ずっとシュニィの行方を探し続けて。

今更、そんな雑な探し方で見つかるとは思えないが。

ベリクリーデを一人にもしておけないので、俺は仕方なくベリクリーデの後をついていった。










…まさか。

そんな会話をした翌日に、シュニィが見つかるとは思ってもみなかった。







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