神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜
――――――…その頃、俺とベリクリーデは。
「よし、今日も頑張って探そう」
「…」
今朝は珍しくベリクリーデが、俺に起こされなくても自分で起きて。
朝っぱらから仕事にやる気を出している。これはとても良いことだと思う。
いつもこうだったら、俺としては非常に有り難いんだがな。
そうは行かないんだよな。残念ながら。
しかも、やる気を出しているのは良いとして…。
「昨日は女の人の隊舎を探したから、今日は男の人の隊舎を探そうね、ジュリス」
「…」
「よし、じゃあ行こっかー」
ベリクリーデは、聖魔騎士団魔導部隊にある、男性隊舎の建物に足を踏み入れようとした。
おい、ちょっと。ちょっと待てって。
「待て、ベリクリーデ」
「ほぇ?」
ほぇ、じゃなくて。
「お前、昨日から…何をしようとしてるんだよ?」
お前が仕事に乗り気なのは良いことだけど、方向性がな?
ちょっと、方向性が一般人とズレてる気がするんだよ。
ベリクリーデがズレてるのは、今に始まったことではないが。
「昨日と言い、今日と言い…。俺は何に付き合わされようとしてるんだ?」
「え?何って…。シュニィを探すんでしょ?」
それはそうだけど。
「だからって、何で魔導隊舎を探してるんだ?」
あのな、今や聖魔騎士団魔導部隊の大隊長全員が、そしてイーニシュフェルト魔導学院の教師陣が、皆して必死にシュニィの行方を探してるんだぞ。
それでも見つからなくて、気を揉んでいるというのに。
こんな近場を探して、それで見つかるとでも?
迷い猫を探すのに、自分ちの庭探してるようなもんだぞ。
「だから、砲台もと暗しって」
「灯台な、灯台」
「ここにいる気がするから」
…出たよ。
ベリクリーデ特有の、いつものアレ。
何でもかんでも、自分の直感で行動する。
直感を大事にするのは大切だけど、直感だけを信じるのは馬鹿のやることだからな。
頭を使いつつ、どうしても困ったときだけ直感の力を頼れ。
それなのに、ベリクリーデは相変わらず、聞く耳を持たない。
「よし、じゃあ探そっかー」
「あ、おいコラ」
ベリクリーデは俺が止めるのも聞かず、すたこらさっさと歩いていった。
…放っておいても良いんだが。
男性隊舎の中に、女であるベリクリーデが一人で入っていくのは、色々と問題がある。
「…あぁ、ったく…」
頭をガリガリと掻いて、俺は全てを諦め、ベリクリーデの後を追った。
「よし、今日も頑張って探そう」
「…」
今朝は珍しくベリクリーデが、俺に起こされなくても自分で起きて。
朝っぱらから仕事にやる気を出している。これはとても良いことだと思う。
いつもこうだったら、俺としては非常に有り難いんだがな。
そうは行かないんだよな。残念ながら。
しかも、やる気を出しているのは良いとして…。
「昨日は女の人の隊舎を探したから、今日は男の人の隊舎を探そうね、ジュリス」
「…」
「よし、じゃあ行こっかー」
ベリクリーデは、聖魔騎士団魔導部隊にある、男性隊舎の建物に足を踏み入れようとした。
おい、ちょっと。ちょっと待てって。
「待て、ベリクリーデ」
「ほぇ?」
ほぇ、じゃなくて。
「お前、昨日から…何をしようとしてるんだよ?」
お前が仕事に乗り気なのは良いことだけど、方向性がな?
ちょっと、方向性が一般人とズレてる気がするんだよ。
ベリクリーデがズレてるのは、今に始まったことではないが。
「昨日と言い、今日と言い…。俺は何に付き合わされようとしてるんだ?」
「え?何って…。シュニィを探すんでしょ?」
それはそうだけど。
「だからって、何で魔導隊舎を探してるんだ?」
あのな、今や聖魔騎士団魔導部隊の大隊長全員が、そしてイーニシュフェルト魔導学院の教師陣が、皆して必死にシュニィの行方を探してるんだぞ。
それでも見つからなくて、気を揉んでいるというのに。
こんな近場を探して、それで見つかるとでも?
迷い猫を探すのに、自分ちの庭探してるようなもんだぞ。
「だから、砲台もと暗しって」
「灯台な、灯台」
「ここにいる気がするから」
…出たよ。
ベリクリーデ特有の、いつものアレ。
何でもかんでも、自分の直感で行動する。
直感を大事にするのは大切だけど、直感だけを信じるのは馬鹿のやることだからな。
頭を使いつつ、どうしても困ったときだけ直感の力を頼れ。
それなのに、ベリクリーデは相変わらず、聞く耳を持たない。
「よし、じゃあ探そっかー」
「あ、おいコラ」
ベリクリーデは俺が止めるのも聞かず、すたこらさっさと歩いていった。
…放っておいても良いんだが。
男性隊舎の中に、女であるベリクリーデが一人で入っていくのは、色々と問題がある。
「…あぁ、ったく…」
頭をガリガリと掻いて、俺は全てを諦め、ベリクリーデの後を追った。