神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜
マシュリが気の毒になってきたから、さっさと次のおすすめスポットに行きたかったのだが。
勝手に一人でテンションマックスのシルナは、そう簡単には止まらない。
「じゃあ次、三軒目!」
まだやるのか?
何軒紹介されたところで、俺達には区別がつかないよ。
「このお店の凄いところはね、こだわりにこだわり抜いた素材の味だよ。国内から選び抜いた高品質な原材料を使って…」
…云々。
「ちょっとお値段は高めだけど、でも味は抜群だよ!ここのチョコケーキを一度でも食べたら、もう、知らなかったあの頃には戻れない」
何言ってんの?こいつ。
どの店のチョコケーキだろうが、お前、バクバク食ってるじゃん。
「原材料にこだわったチーズケーキも美味しくてね、特に私が好きなのは、濃厚チョコチーズケーキっていう商品で、もう口の中が優しさに包まれるよ!」
またチョコかよ。
原材料云々関係なく、それ、お前がチョコ好きなだけじゃね?
「あと、レジ横で小包になって売られてるチョコクッキーが、隠れた目玉商品でね。見つけたら即買っておくことを強くおすすめするよ。あれもすっごい美味しくて…」
我を忘れて力説するシルナを見て。
「…この人は、前世がカカオ豆か何かだったの?」
マシュリは、真顔で俺達にそう尋ねた。
…本当にな。
俺もそう思うよ。多分カカオ豆だったんだろう。
「匂いがきつくて…。…ちょっと辛い」
こうして店の前にいるだけでも、ケーキ屋特有の甘ったるい匂いが漂ってくるもんな。
俺達でさえ感じるくらいなのだから、鼻の良いマシュリにとっては、拷問に近いだろう。
「え、何で?濃厚なチョコレートの凄く良い匂いじゃない」
しかし、シルナはチョコレートの匂いが大好きなので。
苦痛を訴えるマシュリを見ても、きょとんと首を傾げていた。
…この、馬鹿。
誰もが皆、お前のようなチョコ狂いだと思うなよ。
これ以上、シルナの茶番にマシュリを付き合わせる訳にはいかない。
「よし、次だ、次。次のおすすめスポットに行こう。イレース、頼む」
「分かりました」
シルナは…もうここに置き去りにしようぜ。
と、思ったが。
「ちょ、ま、皆。待ってー!」
慌てて後をついてきたので、置き去りにはされずに済んだ。良かったな。
勝手に一人でテンションマックスのシルナは、そう簡単には止まらない。
「じゃあ次、三軒目!」
まだやるのか?
何軒紹介されたところで、俺達には区別がつかないよ。
「このお店の凄いところはね、こだわりにこだわり抜いた素材の味だよ。国内から選び抜いた高品質な原材料を使って…」
…云々。
「ちょっとお値段は高めだけど、でも味は抜群だよ!ここのチョコケーキを一度でも食べたら、もう、知らなかったあの頃には戻れない」
何言ってんの?こいつ。
どの店のチョコケーキだろうが、お前、バクバク食ってるじゃん。
「原材料にこだわったチーズケーキも美味しくてね、特に私が好きなのは、濃厚チョコチーズケーキっていう商品で、もう口の中が優しさに包まれるよ!」
またチョコかよ。
原材料云々関係なく、それ、お前がチョコ好きなだけじゃね?
「あと、レジ横で小包になって売られてるチョコクッキーが、隠れた目玉商品でね。見つけたら即買っておくことを強くおすすめするよ。あれもすっごい美味しくて…」
我を忘れて力説するシルナを見て。
「…この人は、前世がカカオ豆か何かだったの?」
マシュリは、真顔で俺達にそう尋ねた。
…本当にな。
俺もそう思うよ。多分カカオ豆だったんだろう。
「匂いがきつくて…。…ちょっと辛い」
こうして店の前にいるだけでも、ケーキ屋特有の甘ったるい匂いが漂ってくるもんな。
俺達でさえ感じるくらいなのだから、鼻の良いマシュリにとっては、拷問に近いだろう。
「え、何で?濃厚なチョコレートの凄く良い匂いじゃない」
しかし、シルナはチョコレートの匂いが大好きなので。
苦痛を訴えるマシュリを見ても、きょとんと首を傾げていた。
…この、馬鹿。
誰もが皆、お前のようなチョコ狂いだと思うなよ。
これ以上、シルナの茶番にマシュリを付き合わせる訳にはいかない。
「よし、次だ、次。次のおすすめスポットに行こう。イレース、頼む」
「分かりました」
シルナは…もうここに置き去りにしようぜ。
と、思ったが。
「ちょ、ま、皆。待ってー!」
慌てて後をついてきたので、置き去りにはされずに済んだ。良かったな。