神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜
「えっと…。生徒達皆、いろりさんのこと可愛がってるみたいだし…」
ナジュに促されて、天音はおずおずとイレース女王に意見した。
「それに、最初の約束通り、皆ちゃんといろりさんの面倒、見てあげてるでしょ?」
「それは当然です。そういう約束で飼うことを許可したんですから」
そこは褒めてやろうぜ。ちゃんと有言実行出来て偉い、って。
三日坊主じゃなくて、毎日きちんと面倒見てるんだからさ。
まぁ、いろりの場合…誰も面倒見なかったとしても、余裕で生きてると思うけど…。
「いろりさんも多分…買ってあげたら喜ぶと思うし…」
めちゃくちゃ喜ぶと思うぞ。
ちゅちゅ〜るであれだけ興奮してんだから、キャットタワーなんか買った暁には。
あいつ、もう猫の姿から人間に戻らないんじゃね?
「良いんじゃないかなって…思う、かな。うん…」
「…」
「…えっと…ごめんなさい」
イレースにじろりと睨まれ、天音は視線を逸らして謝っていた。
…別に天音が悪い訳じゃないからな。謝らなくても。
この微妙な空気を、何とか打破しようと。
シルナはここぞとばかりに、手土産代わりに持ってきたチョコモンブランを差し入れた。
「ま、まぁまぁイレースちゃん。落ち着いて。たまには生徒達に譲歩してあげようよ。ね?とりあえずチョコモンブランあげるから、それ食べて落ち着、」
「黙っていなさい」
「…はい…」
馬鹿め。
イレース相手に、チョコモンブランなんて賄賂が効くはずないだろ。
案の定、一刀両断されて黙らされてる。
あのチョコモンブランは…多分、明日の朝食のデザート行きだな…。
「…良いでしょう。そこまで言うなら、勝手にしなさい」
イレースは深々と溜め息をついて、そう言った。
やった。女王陛下の許可が降りたぞ。
「ほ、ほんとっ?ありがとう、イレースちゃ…」
「その代わり、条件があります」
「…条件?」
いろりを飼うと決めたときも、同じように条件出してたよな。
ただでは許可しないという、強い意志を感じる。
「エントランスを汚さないこと。通行の邪魔になるほど大きなものは買わないこと」
「あ、う、うん。分かった…」
「それから、購入にかかる費用は生徒の募金ではなく、学院長、あなたと天音さんのポケットマネーから捻出すること」
えっ。
「な、何で…?」
「言ったでしょう。そんな下らないことの為に、未成年からお金を徴収する訳にはいきません」
…うーん。
イレースの言い分が正しいと思ってしまう。
でも…。
「何で天音まで…?」
「キャットタワー購入に賛成なのでしょう?どうしても欲しいと言うなら、購入に賛成する教員が、責任を持ってお金を出しなさい」
口を出すなら金も出せ、ってことだな?
相変わらず容赦ないが、しかし間違ってはいないな…。
「…うぅ…。分かった、出すよ…」
天音は苦笑いでそう言った。
「俺も出すから、三人で分担しようぜ…」
「僕も出しますよ。四人で分担しましょう」
と、ナジュが自ら名乗り出た。有り難い。
良かったな天音、犠牲になるのはお前だけじゃない。
死なば諸共ってことで行こうぜ。
ナジュに促されて、天音はおずおずとイレース女王に意見した。
「それに、最初の約束通り、皆ちゃんといろりさんの面倒、見てあげてるでしょ?」
「それは当然です。そういう約束で飼うことを許可したんですから」
そこは褒めてやろうぜ。ちゃんと有言実行出来て偉い、って。
三日坊主じゃなくて、毎日きちんと面倒見てるんだからさ。
まぁ、いろりの場合…誰も面倒見なかったとしても、余裕で生きてると思うけど…。
「いろりさんも多分…買ってあげたら喜ぶと思うし…」
めちゃくちゃ喜ぶと思うぞ。
ちゅちゅ〜るであれだけ興奮してんだから、キャットタワーなんか買った暁には。
あいつ、もう猫の姿から人間に戻らないんじゃね?
「良いんじゃないかなって…思う、かな。うん…」
「…」
「…えっと…ごめんなさい」
イレースにじろりと睨まれ、天音は視線を逸らして謝っていた。
…別に天音が悪い訳じゃないからな。謝らなくても。
この微妙な空気を、何とか打破しようと。
シルナはここぞとばかりに、手土産代わりに持ってきたチョコモンブランを差し入れた。
「ま、まぁまぁイレースちゃん。落ち着いて。たまには生徒達に譲歩してあげようよ。ね?とりあえずチョコモンブランあげるから、それ食べて落ち着、」
「黙っていなさい」
「…はい…」
馬鹿め。
イレース相手に、チョコモンブランなんて賄賂が効くはずないだろ。
案の定、一刀両断されて黙らされてる。
あのチョコモンブランは…多分、明日の朝食のデザート行きだな…。
「…良いでしょう。そこまで言うなら、勝手にしなさい」
イレースは深々と溜め息をついて、そう言った。
やった。女王陛下の許可が降りたぞ。
「ほ、ほんとっ?ありがとう、イレースちゃ…」
「その代わり、条件があります」
「…条件?」
いろりを飼うと決めたときも、同じように条件出してたよな。
ただでは許可しないという、強い意志を感じる。
「エントランスを汚さないこと。通行の邪魔になるほど大きなものは買わないこと」
「あ、う、うん。分かった…」
「それから、購入にかかる費用は生徒の募金ではなく、学院長、あなたと天音さんのポケットマネーから捻出すること」
えっ。
「な、何で…?」
「言ったでしょう。そんな下らないことの為に、未成年からお金を徴収する訳にはいきません」
…うーん。
イレースの言い分が正しいと思ってしまう。
でも…。
「何で天音まで…?」
「キャットタワー購入に賛成なのでしょう?どうしても欲しいと言うなら、購入に賛成する教員が、責任を持ってお金を出しなさい」
口を出すなら金も出せ、ってことだな?
相変わらず容赦ないが、しかし間違ってはいないな…。
「…うぅ…。分かった、出すよ…」
天音は苦笑いでそう言った。
「俺も出すから、三人で分担しようぜ…」
「僕も出しますよ。四人で分担しましょう」
と、ナジュが自ら名乗り出た。有り難い。
良かったな天音、犠牲になるのはお前だけじゃない。
死なば諸共ってことで行こうぜ。