神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜
――――――…俺はその日になるまで、マシュリの本当の姿を見たことはなかった。

本人やナジュから、異形の姿だと聞かされてはいたけれど。

俺が見たことがあるのは、いろりや、色んな妖怪や、人間の姿のときのマシュリだけで。

本人が言うところの、罪を背負った姿なるものがどんな風か、想像でしか知らなかったのだ。




運命のその日、イーニシュフェルト魔導学院には、朝から客人がやって来ていた。

「…悪いな、ジュリス。それにベリクリーデも…。シルナの奴、今出掛けてんだよ」

そう言いながら、俺はやって来た客人に紅茶のティーカップを差し出した。

そう。訪ねてきたのは、聖魔騎士団魔導部隊大隊長の、ジュリスとベリクリーデの二人であった。



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