神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜
――――――…さて、今夜も夜がやって来た。

パトロールの時間だな。

夜が来ると、こう…やる気が出るよね。俺の時間が来た!みたいな。

近頃は幽霊騒ぎもあったことだし、一段と警戒してパトロールに当たらなくては。

結局あの幽霊って、死体だったんだって?

面白いよなー。死体を操る人がいるなんて。

確か…ネクロマンサーだっけ?

名前は…ルディシアとか何とか言ったか。

イレースせんせーがゲンコツ食らわせた人。

結局そいつが何者なのか、何の目的で動いていたのかについては、これから日を改めて大人達で話し合うらしい。

勿論、そのときは俺と『八千代』も同席させてもらうつもりである。

大人だけで秘密を共有しようだなんて、そうは問屋が卸さないってね。

幽霊を捕まえるチャンスだと思ったのに、正体が死体とは。随分とつまらない幕引きである。

何だかスッキリしないから、是非ともここは本物の幽霊に会って、今度こそとっ捕まえてみたいものだ。

そんな訳で、今夜も『八千代』とパトロール…。

しようと思って、部屋を出ようとしたそのとき。

「すぐり君。すーぐーりー君!」

部屋の扉が、コンコンとノックされた。

うん?この声は。

「ツキナ…?」

扉を開けてみると、そこには予想通り。

ツキナが立っていた。

…しかも、両手に猫を抱っこして。

…。

…何この猫。ちょっと場所代わってくんない?
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