神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜
低い船のモーター音を聞きながら。

「ねー。そろそろ学院長せんせー達、気づいたかな?」

と、『八千歳』が僕に向かって尋ねた。

「何を?」

「俺達がいなくなったこと」

そうだね。

そろそろ気づいてるんじゃないかな。

大体僕達、午後の授業受けてないからね。サボっちゃったから。

その時点で、僕達がいなくなったことに気づいて、探し始めてるかも。

今頃…学生寮に残してきた置き手紙を見つけてるかな。

それに、いろり…マシュリがいなくなったことにも、同時に気づいてるだろう。

いろりを可愛がってる、他の生徒達には申し訳ないけど…。

しばらくしたらちゃんと戻るし、それまで、学院長達が上手く誤魔化してくれるだろう。

「怒ってるかな?イレースせんせーとか」

「大丈夫だよ、きっと」

何も言わずに出てきたなら、凄く怒ると思うけど。

ちゃんと置き手紙を残してあるんだから、「なーんだ」で済ませてくれるよ。

…多分。

「今頃、笑い話になってると思うよ」

「ならいーや」

と、僕達は軽く考えていた。

…の、だが。
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