神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜
報告だと。

それって、もしかして…。

「報告…?それって、アーモンドチョコより大事なこと…?」

シルナは何言ってんだよ。

「え?あー…えっと…。…アーモンドチョコも勿論大事ですけど…」

エリュティアが困ってるじゃないかよ。

良いんだぞ。そんな気を遣わなくても。

アーモンドチョコなんて、今はどうでも良いんだよ!って、はっきり言ってやってくれ。

「一応、人命のかかってることなので、先に報告を聞いて欲しいかな、と…」 

「そっか…。人命、それなら仕方な…ん?」

ん?

シルナは突然、驚愕の表情でエリュティアを見つめた。

「エリュティア君!エリュティア君じゃないか!」
 
「え?あ、は、はい。そうですけど…?」

「君がわざわざ来てくれたってことは…もしかして、令月君達の居場所が分かったのっ?」

「…えぇ、はい。一応…」

「やっぱりそうだったんだね!」

…他に、何の用事があってエリュティアがここに来たと思ってたんだ?

まさか、シルナの甘々チョコを食べながら雑談する為だとでも?

「…先にこの学院長を、実験台として拷問にかけるべきですかね」 

「そっ…それは、勘弁してあげようよ…」

こめかみに血管を浮き立たせるイレースを、天音が必死に宥めていた。

ボケてるんだよ、歳だから。

大目に見てやろうぜ。歳だから。

「…それで、エリュティア。あいつらは何処に?」

シルナをファラリスの雄牛にかけるのは、後回しだ。

それよりまず、ずっと行方を探していたあいつら三人の居場所。

学院から行方を晦ましてからというもの、エリュティアに協力してもらって、ようやく見つけた。

もしかして、俺の嫌な予感が当たっていたら…。

「三人が向かったのは…アーリヤット皇国で間違いないと思う」

言いたくないことだろうに、エリュティアははっきりと俺達にそう告げた。

…そうか。

外れて欲しいと思ってたんだが…俺の嫌な予感、やっぱり当たったな。
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