神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜
皇宮までの道案内を務めてくれるのは、勿論。
「こっち。皇宮の地下にある秘密通路に繋がってる」
猫の姿に『変化』した、マシュリである。
曰く、猫の姿の方が夜目が利くのだとか。
彼にとって、皇宮は古巣みたいなものだからね。
道案内としては完璧だよね。
「ここから先は、監視の目もある。くれぐれも姿を見られないように」
「ふーん。誰に言ってるの?」
「…そうだったね」
君の方こそ、猫の姿だからって、迂闊に人目につかないように気をつけてね。
素人の目につくとは思えないが、警戒すべきなのは…。
「君と同じ、皇王直属軍…。『HOME』だっけ?その人達に出くわすのは避けたいね」
多少戦闘になるのは、やむ無しかもしれないが。
『HOME』の構成員と、直接ドンパチ遣り合うのは得策じゃない。
負けることを心配してるんじゃないよ。
僕と『八千歳』が組んで、勝てない相手はいないと思ってるから。
そうじゃなくて、その戦闘音を聞きつけて人が集まるのが不味いってこと。
あくまで今回の僕達は、隠密行動が基本だから。
誰が相手であっても、人に姿を見られる事態は避けたい。
「どうかな。僕も…『HOME』に所属している全ての構成員を知ってる訳じゃないから…」
そうだったね。
今のところ僕達も、ネクロマンサーと、人間と魔物のハーフが所属していたってことしか知らない。
多分他の構成員も、同じくらいインパクトがあるんだろうな。
何だろう?
「催眠術師とか猛獣使いが出てきたとしても、僕は驚かないよ」
「それくらいなら、むしろかわいーんじゃない?マッドなサイエンティストとか、バーサーカーとか出てくるかも」
成程、『八千歳』の言う通りだね。
それはそれで、ちょっと戦ってみたくもあるけど。
今回はお預けだね。
本当はどんな奴がいるのか、出てきてからのお楽しみ。
「当然、魔導師もいるんだよね?」
「いるよ」
…だよね。
「にしても、変な人だよねー。魔導師を抑圧する条約を、自分から率先して提案してる癖に…。自分の周りの護衛を固めるのは魔導師な訳?」
皇宮に向かう地下通路を歩きながら、『八千歳』が呟いた。
それ、僕もずっと思ってた。
根っからの魔導師嫌いかと思いきや、普通に魔導師を重用してるんだよね。
何だか矛盾してるって言うか。
「ナツキ皇王は別に、魔導師排斥論者じゃないよ」
と、マシュリが答えた。
「ただ、魔導師は危険な存在だから、国によって管理しなきゃいけないって思ってるだけ」
国によって管理…魔導師を。
ふーん。
「つまり、魔導師を御しきれる自信がないってことだね」
自分に反旗を翻す恐れがある存在を、野放しにしておくのが怖いんだ。
意外と小物なんだね。アーリヤット皇王って。
「こっち。皇宮の地下にある秘密通路に繋がってる」
猫の姿に『変化』した、マシュリである。
曰く、猫の姿の方が夜目が利くのだとか。
彼にとって、皇宮は古巣みたいなものだからね。
道案内としては完璧だよね。
「ここから先は、監視の目もある。くれぐれも姿を見られないように」
「ふーん。誰に言ってるの?」
「…そうだったね」
君の方こそ、猫の姿だからって、迂闊に人目につかないように気をつけてね。
素人の目につくとは思えないが、警戒すべきなのは…。
「君と同じ、皇王直属軍…。『HOME』だっけ?その人達に出くわすのは避けたいね」
多少戦闘になるのは、やむ無しかもしれないが。
『HOME』の構成員と、直接ドンパチ遣り合うのは得策じゃない。
負けることを心配してるんじゃないよ。
僕と『八千歳』が組んで、勝てない相手はいないと思ってるから。
そうじゃなくて、その戦闘音を聞きつけて人が集まるのが不味いってこと。
あくまで今回の僕達は、隠密行動が基本だから。
誰が相手であっても、人に姿を見られる事態は避けたい。
「どうかな。僕も…『HOME』に所属している全ての構成員を知ってる訳じゃないから…」
そうだったね。
今のところ僕達も、ネクロマンサーと、人間と魔物のハーフが所属していたってことしか知らない。
多分他の構成員も、同じくらいインパクトがあるんだろうな。
何だろう?
「催眠術師とか猛獣使いが出てきたとしても、僕は驚かないよ」
「それくらいなら、むしろかわいーんじゃない?マッドなサイエンティストとか、バーサーカーとか出てくるかも」
成程、『八千歳』の言う通りだね。
それはそれで、ちょっと戦ってみたくもあるけど。
今回はお預けだね。
本当はどんな奴がいるのか、出てきてからのお楽しみ。
「当然、魔導師もいるんだよね?」
「いるよ」
…だよね。
「にしても、変な人だよねー。魔導師を抑圧する条約を、自分から率先して提案してる癖に…。自分の周りの護衛を固めるのは魔導師な訳?」
皇宮に向かう地下通路を歩きながら、『八千歳』が呟いた。
それ、僕もずっと思ってた。
根っからの魔導師嫌いかと思いきや、普通に魔導師を重用してるんだよね。
何だか矛盾してるって言うか。
「ナツキ皇王は別に、魔導師排斥論者じゃないよ」
と、マシュリが答えた。
「ただ、魔導師は危険な存在だから、国によって管理しなきゃいけないって思ってるだけ」
国によって管理…魔導師を。
ふーん。
「つまり、魔導師を御しきれる自信がないってことだね」
自分に反旗を翻す恐れがある存在を、野放しにしておくのが怖いんだ。
意外と小物なんだね。アーリヤット皇王って。