神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜
「結局、あいつはサミットに参加せずに閉幕したんだ。今更、あいつの話を誰が聞くんだ」
「世界魔導師保護条約に関しても、ルーデュニア聖王国を始めとする親魔導師国家をまとめ、正式に抗議するつもりのようですが…」
「勝手に言わせておけ。奴らの戯言だ」
ふーん。
やっぱりフユリ女王は、例の条約には反対してるんだね。
反対してもらわなきゃ困るけど。
「それから…ミナミノ共和国の首相から、この度の計画に協力した『見返り』の催促状が届いていますが…」
と、ナツキ皇王の側近が言った。
ミナミノ共和国…「見返り」。
やっぱりミナミノ共和国は、ナツキ皇王からの見返りを目的として、フユリ女王を足止めしていたんだ。
「ふん。そんなに金が欲しいか…。さっさと送ってやれ。あいつらはもう用済みだ」
「畏まりました」
見返りって、お金?お金目的だったのか。
「それより、ルーデュニアにいるネクロマンサーと『半端者』は?どうしてる?」
突然自分の話が飛び出してきて、マシュリはビクッとしていた。
「今のところ、動きはありません」
まさか、頭上で会話を盗み聞きしてるとは思ってないだろうな。
「ふん…。あいつらも、身の程を弁えてるってことか」
身の程を弁えて…こっそり盗み聞きしてるよ。
「結局目的も果たせずに、恥知らずにもルーデュニアに寝返った裏切り者共だからな。…精々、『人質』として役に立ってもらうぞ」
…。
「…」
これには、マシュリも無言で唇を噛み締める。
…何だろう。
僕、この王様嫌いだな。
「…やっちゃう?今なららくしょーだよ」
『八千歳』も、不機嫌そうに呟いた。
本当にね。今なら油断しまくってるし、暗殺しようと思ったら簡単だよ。
でも…もうちょっと待ってみよう。
「もう少し、色々聞き出そうよ」
「…分かった」
このまま、べらべら喋ってくれると有り難い。
ナツキ皇王の最終的な目標とか、それから他にも知りたいことが色々…。
「世論は今、正義はアーリヤット皇国に有ると思ってる。サミットに参加すらしなかったフユリの言うことなんて、誰も耳を貸すもんか」
ナツキ皇王は、勝ち誇ったような顔でそう言った。
よく見たら、片手にグラスを持っていた。
どうやら、ほろ酔い気分で気持ち良くなってるみたいだ。
…やっぱり、今こそ暗殺の絶好のチャンスなのでは?
まぁ、やらないけど。
「このままルーデュニアには黙ってもらって、その間にまずは条約の締結を最優先に…」
と、深謀遠慮(笑)な計画を口にしていた、そのとき。
「事がそう上手く運ぶと思うな」
気分良く勝ち誇っていたナツキ皇王に、水を指すように。
何処かで聞き覚えのある女の声が、王の間に響いた。
その姿を見て、僕と『八千歳』は驚愕に目を見開いた。
「世界魔導師保護条約に関しても、ルーデュニア聖王国を始めとする親魔導師国家をまとめ、正式に抗議するつもりのようですが…」
「勝手に言わせておけ。奴らの戯言だ」
ふーん。
やっぱりフユリ女王は、例の条約には反対してるんだね。
反対してもらわなきゃ困るけど。
「それから…ミナミノ共和国の首相から、この度の計画に協力した『見返り』の催促状が届いていますが…」
と、ナツキ皇王の側近が言った。
ミナミノ共和国…「見返り」。
やっぱりミナミノ共和国は、ナツキ皇王からの見返りを目的として、フユリ女王を足止めしていたんだ。
「ふん。そんなに金が欲しいか…。さっさと送ってやれ。あいつらはもう用済みだ」
「畏まりました」
見返りって、お金?お金目的だったのか。
「それより、ルーデュニアにいるネクロマンサーと『半端者』は?どうしてる?」
突然自分の話が飛び出してきて、マシュリはビクッとしていた。
「今のところ、動きはありません」
まさか、頭上で会話を盗み聞きしてるとは思ってないだろうな。
「ふん…。あいつらも、身の程を弁えてるってことか」
身の程を弁えて…こっそり盗み聞きしてるよ。
「結局目的も果たせずに、恥知らずにもルーデュニアに寝返った裏切り者共だからな。…精々、『人質』として役に立ってもらうぞ」
…。
「…」
これには、マシュリも無言で唇を噛み締める。
…何だろう。
僕、この王様嫌いだな。
「…やっちゃう?今なららくしょーだよ」
『八千歳』も、不機嫌そうに呟いた。
本当にね。今なら油断しまくってるし、暗殺しようと思ったら簡単だよ。
でも…もうちょっと待ってみよう。
「もう少し、色々聞き出そうよ」
「…分かった」
このまま、べらべら喋ってくれると有り難い。
ナツキ皇王の最終的な目標とか、それから他にも知りたいことが色々…。
「世論は今、正義はアーリヤット皇国に有ると思ってる。サミットに参加すらしなかったフユリの言うことなんて、誰も耳を貸すもんか」
ナツキ皇王は、勝ち誇ったような顔でそう言った。
よく見たら、片手にグラスを持っていた。
どうやら、ほろ酔い気分で気持ち良くなってるみたいだ。
…やっぱり、今こそ暗殺の絶好のチャンスなのでは?
まぁ、やらないけど。
「このままルーデュニアには黙ってもらって、その間にまずは条約の締結を最優先に…」
と、深謀遠慮(笑)な計画を口にしていた、そのとき。
「事がそう上手く運ぶと思うな」
気分良く勝ち誇っていたナツキ皇王に、水を指すように。
何処かで聞き覚えのある女の声が、王の間に響いた。
その姿を見て、僕と『八千歳』は驚愕に目を見開いた。