神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜
アーリヤット皇国大使館から使者が来た、と聞いたとき。
俺が真っ先に思い浮かべたのは、令月達のことだった。
「えっ…。ま、まさか…あいつらの不法入国がバレたのか…!?」
てっきり、令月達の侵入がナツキ様にバレていて。
一週間経って、改めて罪を咎められようとしてるんじゃないかと。
「わ、分かんない…」
これには、シルナも顔を真っ青にしてびびっていた。
アーリヤット皇国、それもナツキ様からの書簡なんて、恐怖しか感じないぞ。
「フユリ様にも内密に、って言われて…。ま、まさか本当に令月君達のスパイがバレて…?」
もしそうだとしたら、両国の関係は泥沼だぞ。
ただでさえ、フユリ様とナツキ様の仲は険悪なものになっている。
あれからフユリ様は、再三、何度もナツキ様に交渉と話し合いを求めて請願している。
しかし今のところ、ナツキ様がフユリ様の要請に応える様子はない。
何度頼んでも、無視されている状態だ。
フユリ様は、諦めるつもりはないと言っていたが…。
一週間経っても、返事どころかスルーされている状況。
ナツキ様には、話し合うつもりなんて欠片もないのだろう。
あくまでフユリ様は、話し合いによる平和的な解決法を探っていたが。
こうなった以上、フユリ様の望む話し合いによる解決は、今のところ絶望的だ。
俺とシルナも気を揉んでいた、丁度そのとき。
こうして、アーリヤット皇国大使館から、ナツキ様の書簡が届けられた。
何で学院に?
フユリ様宛じゃないのか。
「ちょ、ちょっと…見せてくれ」
「う、うん…」
俺はシルナから引ったくるようにして、白い封筒を受け取った。
封筒には、アーリヤット皇国の国旗を象った、王族のみが使用出来る、王家の花紋のスタンプが押されていた。
偽造ではない。本物のように見える。
ってことは…間違いなく、これはナツキ様からの書簡…。
「…これ、シルナ宛なのか?フユリ様宛じゃなくて…?」
「わ、分かんないけど…。さすがに、国王から託された手紙の届け先を、大使館の人が間違える…とは思えないよ」
そうだよな。
そんな間抜けな凡ミス、シルナじゃあるまいに、責任ある大使館の職員が犯すとは思えない。
シルナじゃあるまいに。
「羽久が私に失礼なこと考えてる気がするけど、今はそれどころじゃないや…」
あぁ、その通りだ。
これがもし本当に、ナツキ様からの手紙なのだとしたら。
一大事だぞ。これは。
「…イレースとか天音達も呼んでくるか?」
あいつら、今授業中なんだけど。
さすがに緊急事態だから、授業は自習にして、一緒に手紙の封を開けるべきか?
しかし…。
「…とりあえず…私達だけで開けない?差出人が差出人だし…。あんまり広めない方が良いと思う」
と、シルナはイレース達を巻き込むことを避けた。
そうか。…そうだな。
もしあいつらも知る必要がある情報ならなら、後で共有すれば良い。
先に、俺達だけで読ませてもらうぞ。
俺が真っ先に思い浮かべたのは、令月達のことだった。
「えっ…。ま、まさか…あいつらの不法入国がバレたのか…!?」
てっきり、令月達の侵入がナツキ様にバレていて。
一週間経って、改めて罪を咎められようとしてるんじゃないかと。
「わ、分かんない…」
これには、シルナも顔を真っ青にしてびびっていた。
アーリヤット皇国、それもナツキ様からの書簡なんて、恐怖しか感じないぞ。
「フユリ様にも内密に、って言われて…。ま、まさか本当に令月君達のスパイがバレて…?」
もしそうだとしたら、両国の関係は泥沼だぞ。
ただでさえ、フユリ様とナツキ様の仲は険悪なものになっている。
あれからフユリ様は、再三、何度もナツキ様に交渉と話し合いを求めて請願している。
しかし今のところ、ナツキ様がフユリ様の要請に応える様子はない。
何度頼んでも、無視されている状態だ。
フユリ様は、諦めるつもりはないと言っていたが…。
一週間経っても、返事どころかスルーされている状況。
ナツキ様には、話し合うつもりなんて欠片もないのだろう。
あくまでフユリ様は、話し合いによる平和的な解決法を探っていたが。
こうなった以上、フユリ様の望む話し合いによる解決は、今のところ絶望的だ。
俺とシルナも気を揉んでいた、丁度そのとき。
こうして、アーリヤット皇国大使館から、ナツキ様の書簡が届けられた。
何で学院に?
フユリ様宛じゃないのか。
「ちょ、ちょっと…見せてくれ」
「う、うん…」
俺はシルナから引ったくるようにして、白い封筒を受け取った。
封筒には、アーリヤット皇国の国旗を象った、王族のみが使用出来る、王家の花紋のスタンプが押されていた。
偽造ではない。本物のように見える。
ってことは…間違いなく、これはナツキ様からの書簡…。
「…これ、シルナ宛なのか?フユリ様宛じゃなくて…?」
「わ、分かんないけど…。さすがに、国王から託された手紙の届け先を、大使館の人が間違える…とは思えないよ」
そうだよな。
そんな間抜けな凡ミス、シルナじゃあるまいに、責任ある大使館の職員が犯すとは思えない。
シルナじゃあるまいに。
「羽久が私に失礼なこと考えてる気がするけど、今はそれどころじゃないや…」
あぁ、その通りだ。
これがもし本当に、ナツキ様からの手紙なのだとしたら。
一大事だぞ。これは。
「…イレースとか天音達も呼んでくるか?」
あいつら、今授業中なんだけど。
さすがに緊急事態だから、授業は自習にして、一緒に手紙の封を開けるべきか?
しかし…。
「…とりあえず…私達だけで開けない?差出人が差出人だし…。あんまり広めない方が良いと思う」
と、シルナはイレース達を巻き込むことを避けた。
そうか。…そうだな。
もしあいつらも知る必要がある情報ならなら、後で共有すれば良い。
先に、俺達だけで読ませてもらうぞ。