神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜
「…まぁ良い。聞くだけなら聞いてやる」
俺の態度も随分偉そうだな。我ながら。
どっちが王様か、分かったもんじゃない。
イライラしてるから、つい態度が大きくなってしまう。
相手は大国の王様で、対する俺は、ただの魔導学院のイチ教師でしかないのだが。
そんなことさえ、今の俺の頭にはなかった。
そしてナツキ様の方も、俺の無礼を気にしている様子はなかった。
「ヴァルシーナと手を組んで、シルナの暗殺を目論んで…。そして、あのくそったれな条約を世界中で締結させて、フユリ様を貶めて…更にアーリヤット共栄圏を広げ、自分が世界の王様になる…」
「…」
「それがあんたの目的なんだろう?…その為に、今度は誰を騙し、誰を手に掛けるつもりなんだ?」
こうなったら、もう形振り構わず、何でも単刀直入に聞いてやる。
おためごかしは無しだ。お互いにな。
「随分直球に聞いてくるんだな」
「何か違うのか?」
「そのような俗物的な言い方は気に入らないが…。間違ってはいないだろうな」
ほらな。
自分で認める分には、なかなか潔いな。
「…本気でやるつもりなのか?」
出来るつもりなのか?自分こそが世界の王様になるなんて。
そういうのを、思い上がりって言うんだぞ。
ふんぞり返るなら、自分の国だけで満足しとけよ。
両手に持てないものを抱えようとすれば、いずれその重荷で潰されるぞ。
「間違ってはいない。が…いくつか訂正しておきたいところがある」
「何だよ?」
「まず、ヴァルシーナと手を組んで…という点。…俺は確かに、彼女から有益な情報を聞き出してはいる。が…手を組んだつもりはない」
ほう?
ヴァルシーナに唆されて、シルナを暗殺する為に二人も刺客を送ってきた癖に?
「事実、俺が今日ここにいることは、ヴァルシーナは知らない」
「…は…?」
「ヴァルシーナには、ただ同じ共栄圏の参加国であるナンセイ民主共和国の首相に、条約締結の協力を呼びかけに行くだけだと伝えてある」
「…」
ヴァルシーナに嘘をついてまで…俺達に会いたかったってことか?
「君達をアーリヤット皇国ではなく、わざわざナンセイ民主共和国に呼んだのは、それが理由だ。…ヴァルシーナに、君達と会っていることを知られたくなかったから」
「…隠れて俺達に会ってるなんて知られたら、ヴァルシーナはブチギレると思うぞ」
「だろうな。だから、あくまでここでのことは内密に頼みたい」
…あ、そ。
何でそこまでして…。ナツキ様としても、余計なことしてヴァルシーナを怒らせたくはないだろうに。
「何の為に、そこまで…?」
「…それは勿論、君達と協力したいからだよ」
そう言って、ナツキ様は不敵に微笑んだ。
…マジで言ってる?
俺の態度も随分偉そうだな。我ながら。
どっちが王様か、分かったもんじゃない。
イライラしてるから、つい態度が大きくなってしまう。
相手は大国の王様で、対する俺は、ただの魔導学院のイチ教師でしかないのだが。
そんなことさえ、今の俺の頭にはなかった。
そしてナツキ様の方も、俺の無礼を気にしている様子はなかった。
「ヴァルシーナと手を組んで、シルナの暗殺を目論んで…。そして、あのくそったれな条約を世界中で締結させて、フユリ様を貶めて…更にアーリヤット共栄圏を広げ、自分が世界の王様になる…」
「…」
「それがあんたの目的なんだろう?…その為に、今度は誰を騙し、誰を手に掛けるつもりなんだ?」
こうなったら、もう形振り構わず、何でも単刀直入に聞いてやる。
おためごかしは無しだ。お互いにな。
「随分直球に聞いてくるんだな」
「何か違うのか?」
「そのような俗物的な言い方は気に入らないが…。間違ってはいないだろうな」
ほらな。
自分で認める分には、なかなか潔いな。
「…本気でやるつもりなのか?」
出来るつもりなのか?自分こそが世界の王様になるなんて。
そういうのを、思い上がりって言うんだぞ。
ふんぞり返るなら、自分の国だけで満足しとけよ。
両手に持てないものを抱えようとすれば、いずれその重荷で潰されるぞ。
「間違ってはいない。が…いくつか訂正しておきたいところがある」
「何だよ?」
「まず、ヴァルシーナと手を組んで…という点。…俺は確かに、彼女から有益な情報を聞き出してはいる。が…手を組んだつもりはない」
ほう?
ヴァルシーナに唆されて、シルナを暗殺する為に二人も刺客を送ってきた癖に?
「事実、俺が今日ここにいることは、ヴァルシーナは知らない」
「…は…?」
「ヴァルシーナには、ただ同じ共栄圏の参加国であるナンセイ民主共和国の首相に、条約締結の協力を呼びかけに行くだけだと伝えてある」
「…」
ヴァルシーナに嘘をついてまで…俺達に会いたかったってことか?
「君達をアーリヤット皇国ではなく、わざわざナンセイ民主共和国に呼んだのは、それが理由だ。…ヴァルシーナに、君達と会っていることを知られたくなかったから」
「…隠れて俺達に会ってるなんて知られたら、ヴァルシーナはブチギレると思うぞ」
「だろうな。だから、あくまでここでのことは内密に頼みたい」
…あ、そ。
何でそこまでして…。ナツキ様としても、余計なことしてヴァルシーナを怒らせたくはないだろうに。
「何の為に、そこまで…?」
「…それは勿論、君達と協力したいからだよ」
そう言って、ナツキ様は不敵に微笑んだ。
…マジで言ってる?