神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜
「今日は港町で任務があったからな。その帰りだ」
俺は、ベリーシュにそう説明した。
「そうなんだ…。港町で、何してたの?」
「いや、輸送船の積み荷の確認にな」
「…?」
ごめん。この説明じゃアバウト過ぎて分からんよな。
そうだな。もっと詳しく言うと…。
「今朝、シュニィに頼まれたんだよ。どうも最近、ルーデュニア聖王国に届く輸入品の積み荷の中に、怪しいものが紛れ込んでることがあるって…」
「積み荷の中に、怪しいもの…?何、それ?」
「さぁ。俺にも分からない。分からないから、調べに来たんだ」
「あ、そうか…」
怪しいもの…って言われてもなぁ。
怪しいの定義が広過ぎて、具体的に何を意味するのか分からない。
「積み荷の中にあるってことは、輸入品じゃないの?」
「輸入品とはまた別らしいぞ。食糧品や衣料品の中に、無造作に紛れ込んでるらしくて…」
「それは…気味が悪いね。何なんだろう?」
そう。気味が悪いだろう?
だから、今日俺達が派遣されてきた訳だ。
積み荷の中に紛れ込んでるっていう、怪しいブツの正体を確かめにな。
そのブツが一体何なのか、何処から送られてきたものなのかを、調査しに来た。
…しかし…。
「見つかったの?」
「…いや、残念ながら」
輸送船の乗組員に無理を言って、彼らの見ている前で、積み荷の中身をいくつか検めさせてもらった。
が、俺達が確認したところ、怪しいブツとやらは見つけられなかった。
この港町は、ルーデュニア聖王国最大の貿易港。
一日に届く積み荷の数は、ざっと数えても千を越える。
その全ての中身を開けて、いちいち調べる訳にもいかず。
適当に選んだ積み荷を開けては、中身を確かめたのだが…。
どうやら、「当たり」は引けなかったらしい。
…そりゃまぁ、そうだよなぁ。
「当たり」なんて、何分の1だよ?
港町に届く、全ての積み荷を検める訳にはいかないからな。
そんな途方も無い作業をしてたら、時間がいくらあっても足りない。
「今日は収穫ゼロだ。シュニィに相談して…明日も来るかどうか、指示を仰ぐつもりだ」
「そっか…。…こんなに広い港じゃあ、探しものをするのも一苦労だね」
その通りだ。
ついでに、俺にはベリクリーデのお守りという、この上なく厄介な役目を抱えてるからな。
港町なんかであいつを放っておいたら、間違えて船に乗り込んで、気づいたら外国に運ばれてるかもしれない。
まさか、いくらベリクリーデでもそんなこと、と思ったお前。
お前は甘い。
あいつならマジで、そのくらいのこと日常茶飯事だから。
落ち着いて探しものなんて、とてもじゃないけど無理。
今更だが、この任務…人選間違えてね?
俺は、ベリーシュにそう説明した。
「そうなんだ…。港町で、何してたの?」
「いや、輸送船の積み荷の確認にな」
「…?」
ごめん。この説明じゃアバウト過ぎて分からんよな。
そうだな。もっと詳しく言うと…。
「今朝、シュニィに頼まれたんだよ。どうも最近、ルーデュニア聖王国に届く輸入品の積み荷の中に、怪しいものが紛れ込んでることがあるって…」
「積み荷の中に、怪しいもの…?何、それ?」
「さぁ。俺にも分からない。分からないから、調べに来たんだ」
「あ、そうか…」
怪しいもの…って言われてもなぁ。
怪しいの定義が広過ぎて、具体的に何を意味するのか分からない。
「積み荷の中にあるってことは、輸入品じゃないの?」
「輸入品とはまた別らしいぞ。食糧品や衣料品の中に、無造作に紛れ込んでるらしくて…」
「それは…気味が悪いね。何なんだろう?」
そう。気味が悪いだろう?
だから、今日俺達が派遣されてきた訳だ。
積み荷の中に紛れ込んでるっていう、怪しいブツの正体を確かめにな。
そのブツが一体何なのか、何処から送られてきたものなのかを、調査しに来た。
…しかし…。
「見つかったの?」
「…いや、残念ながら」
輸送船の乗組員に無理を言って、彼らの見ている前で、積み荷の中身をいくつか検めさせてもらった。
が、俺達が確認したところ、怪しいブツとやらは見つけられなかった。
この港町は、ルーデュニア聖王国最大の貿易港。
一日に届く積み荷の数は、ざっと数えても千を越える。
その全ての中身を開けて、いちいち調べる訳にもいかず。
適当に選んだ積み荷を開けては、中身を確かめたのだが…。
どうやら、「当たり」は引けなかったらしい。
…そりゃまぁ、そうだよなぁ。
「当たり」なんて、何分の1だよ?
港町に届く、全ての積み荷を検める訳にはいかないからな。
そんな途方も無い作業をしてたら、時間がいくらあっても足りない。
「今日は収穫ゼロだ。シュニィに相談して…明日も来るかどうか、指示を仰ぐつもりだ」
「そっか…。…こんなに広い港じゃあ、探しものをするのも一苦労だね」
その通りだ。
ついでに、俺にはベリクリーデのお守りという、この上なく厄介な役目を抱えてるからな。
港町なんかであいつを放っておいたら、間違えて船に乗り込んで、気づいたら外国に運ばれてるかもしれない。
まさか、いくらベリクリーデでもそんなこと、と思ったお前。
お前は甘い。
あいつならマジで、そのくらいのこと日常茶飯事だから。
落ち着いて探しものなんて、とてもじゃないけど無理。
今更だが、この任務…人選間違えてね?