神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜
「かなり煽ったから…受けて立ってやると言ってくれると思うけど…」

「そんなの分からないだろ…」

正しく言うと、煽ったのはハクロであって、ナツキ様本人じゃないしな。

ハクロがどのように伝えるか分からないし…。

「…受けてくれると信じましょう」

と、フユリ様は言った。

そうだな。…信じよう。

シルナがここまでやったんだから、上手く行くと信じて行動するよ。

「…やれやれ。あなた方といると、全く命がいくつあっても足りませんね」

ナジュは肩をすくめて、大袈裟な口調で言った。

本当にな。命いくつ分付き合わせたことか。

「また付き合ってもらうぞ、ナジュも」

「はいはい、分かりましたよ」

決闘の準備、そして…万が一、決闘が行われなかったときの準備。

やることはたくさんある。

「ひとまず学院に戻って…そうだ、シュニィちゃん達とも話さないと。フユリ様、港の方に…」

「はい。もしものことがないよう、警備の手を回します。それから、この話はくれぐれも内密に…」

「勿論、分かってます」

事態が変わるまでは、パニックを防ぐ為にも、国民達には伏せておいた方が良いだろう。

まさか、祖国が戦争秒読み状態にあるなんて知ったら。

ルーデュニア聖王国の平和な国民達は、皆度肝を抜くだろうな。

恐怖に怯え、パニックが伝染し、最悪内部崩壊も有り得る。

そうなるのを防ぐ為に、俺達は俺達に出来ることをやらなければならない。

…あとは、ナツキ様が決闘を受けてくれると信じよう。

果たして今頃、ナツキ様はハクロから、どのような説明を受けているのか…。
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