神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜
第23章
…深夜、シルナと一緒にチョコレートを食べたその翌日。
早速ナツキ様から、決闘の詳細なルールを書き記した文書が送られてきた。
もう少し、時間に余裕を持たせてくれるかと期待したんだがな。
随分急いでいるようだ。
十中八九、俺達に対策を立てる猶予を与えない為だろうな。
これまでずっと、ルーデュニア聖王国は後手に回ってばかりだった。
そして、今回もそう。
ナツキ様が提示した決闘の日付は、なんと翌日の午後だった。
つまり、昨日決闘を提案して、次の日に話し合いをして、その翌日にもう決闘が始まるっていう。
超強行スケジュールである。
息を整える暇もない。
「あ、明日って…。そんな、いきなり…」
これには、話を聞いた天音も愕然。
あと丸一日ないな。
24時間後には、決闘が始まっているってことになる。
「驚いている暇はないようですよ。決闘の開催地はミナミノ共和国だそうですから」
と、ナジュ。
そう、開催地。
決闘を行う場所は、ルーデュニア聖王国でもアーリヤット皇国でもなく。
例の、フユリ様がサミットの開催中ずっと閉じ込められていた、遠く南方にある島国、ミナミノ共和国であった。
「今すぐにでも出発しないと」
「いや、ちょっと待ってよ。ミナミノ共和国って、船で行ったら一週間くらいかかるって…」
そうだな。
呑気に船旅してたら、ミナミノ共和国に着く前に決闘終わってるな。
でも…奥の手ならある。
「ルイーシュ君に頼んで、送ってもらおう」
と、シルナ。
どうやらシルナも分かっていたらしいな。
「え?それはどういう…」
「空間魔法だよ。彼の魔法で、ミナミノ共和国まで送ってもらうの」
「…あっ…成程…」
天音も気づいたようだな。
空間を操るルイーシュの魔法なら、大抵の場所には一瞬で移動出来る。
ワープ能力と言っても良い。
ただし、このような便利タクシーじみた芸当は、誰にでも出来る訳ではない。
ルイーシュクラスの空間魔法使いなら、この程度は容易いのだが。
まず空間魔法という魔法が、かなり特殊だからな。
俺の使う時魔法ほどではないが、使用者を選ぶ魔法であることに変わりはない。
おまけに、ルイーシュのように、何処でもここでも一瞬でワープするほど高度な空間魔法使いは、まず滅多にいるものではない。
普段は面倒臭がりで、サボり癖があって、相棒のキュレムの頭を悩ませてばかりいるが。
あれでルイーシュって、俺より遥かに天才なんだぜ。
あの面倒臭がりな性格が何とかなれば、もっと出世出来ただろうに。
出世とか全く興味なさそうだもんな。
…まぁ、それはさておき。
ルイーシュに送ってもらえば、一応明日までにミナミノ共和国に辿り着くことは可能だ。
だから、決闘に間に合わないという不安はない。
…の、だが。
早速ナツキ様から、決闘の詳細なルールを書き記した文書が送られてきた。
もう少し、時間に余裕を持たせてくれるかと期待したんだがな。
随分急いでいるようだ。
十中八九、俺達に対策を立てる猶予を与えない為だろうな。
これまでずっと、ルーデュニア聖王国は後手に回ってばかりだった。
そして、今回もそう。
ナツキ様が提示した決闘の日付は、なんと翌日の午後だった。
つまり、昨日決闘を提案して、次の日に話し合いをして、その翌日にもう決闘が始まるっていう。
超強行スケジュールである。
息を整える暇もない。
「あ、明日って…。そんな、いきなり…」
これには、話を聞いた天音も愕然。
あと丸一日ないな。
24時間後には、決闘が始まっているってことになる。
「驚いている暇はないようですよ。決闘の開催地はミナミノ共和国だそうですから」
と、ナジュ。
そう、開催地。
決闘を行う場所は、ルーデュニア聖王国でもアーリヤット皇国でもなく。
例の、フユリ様がサミットの開催中ずっと閉じ込められていた、遠く南方にある島国、ミナミノ共和国であった。
「今すぐにでも出発しないと」
「いや、ちょっと待ってよ。ミナミノ共和国って、船で行ったら一週間くらいかかるって…」
そうだな。
呑気に船旅してたら、ミナミノ共和国に着く前に決闘終わってるな。
でも…奥の手ならある。
「ルイーシュ君に頼んで、送ってもらおう」
と、シルナ。
どうやらシルナも分かっていたらしいな。
「え?それはどういう…」
「空間魔法だよ。彼の魔法で、ミナミノ共和国まで送ってもらうの」
「…あっ…成程…」
天音も気づいたようだな。
空間を操るルイーシュの魔法なら、大抵の場所には一瞬で移動出来る。
ワープ能力と言っても良い。
ただし、このような便利タクシーじみた芸当は、誰にでも出来る訳ではない。
ルイーシュクラスの空間魔法使いなら、この程度は容易いのだが。
まず空間魔法という魔法が、かなり特殊だからな。
俺の使う時魔法ほどではないが、使用者を選ぶ魔法であることに変わりはない。
おまけに、ルイーシュのように、何処でもここでも一瞬でワープするほど高度な空間魔法使いは、まず滅多にいるものではない。
普段は面倒臭がりで、サボり癖があって、相棒のキュレムの頭を悩ませてばかりいるが。
あれでルイーシュって、俺より遥かに天才なんだぜ。
あの面倒臭がりな性格が何とかなれば、もっと出世出来ただろうに。
出世とか全く興味なさそうだもんな。
…まぁ、それはさておき。
ルイーシュに送ってもらえば、一応明日までにミナミノ共和国に辿り着くことは可能だ。
だから、決闘に間に合わないという不安はない。
…の、だが。