神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜
「開催地がミナミノ共和国…。おまけに、決闘の審判もミナミノ共和国の軍属魔導師に依頼する、ってよ」
「そう書いてあるね」
ナツキ様から送られてきた、決闘のルール表。
そこには、決闘の審判はミナミノ共和国にいる軍属魔導師が行う、と書いてある。
…危惧していたが、やっぱり…。
「何これ。これじゃあ審判も向こうのグルじゃん」
すぐりが、あっけらかんとそう言った。
それなんだよ。
俺も同じこと考えてた。
「ミナミノ共和国は、言わずと知れたアーリヤット共栄圏の参加国…。つまり、アーリヤット皇国の子分のようなものです」
「子分と言えば聞こえは良いですけど、実質植民地ですよね」
イレースとナジュが、順番に言った。
植民地…は言い過ぎかもしれないが、でも間違ってはいない。
ミナミノ共和国は、アーリヤット皇国の縄張りだ。
わざわざそんなところに赴いて、しかも現地の魔導師を審判役に頼むなんて…。
俺達にとっては、アウェーにも程がある。
「間違いなく、審判は一方的に、アーリヤット皇国側に有利なジャッジをするでしょうね」
「そんな…。ただでさえ不利な状況なのに…。審判が中立じゃないなんて」
「開催地がミナミノ共和国ってだけで、全然中立ではないですけどね」
敵のホームで試合するんだもんな。
周りを見たら、何処もかしこも敵だらけだよ。
観客からブーイングが来ないだけ、気分的にはマシだろうか。
「…開催地がアーリヤット共栄圏なのは予想してたけど、僕はそれ以上に…決闘相手を向こうが指名する、っていう、このルールが気になるよ」
人間形態のマシュリが、ルール表の一項目を指差した。
開催地と日時のインパクトが強過ぎて、危うく見逃すところだった。
マシュリが指差した先には、決闘の対戦相手をどのように決めるかについて書いてあった。
えーと、何々?
決闘は一対一の試合を三回戦まで行い、二本先取した時点で、決闘の勝者が決まる。
成程、一回の試合で決まる訳じゃなく、三回戦まであるのか。
で、先に二本先取した国が勝ち。
一試合で国の命運が全て決まる、という恐ろしいプレッシャーからは開放されたけど…。
しかし、ナツキ様が多少の優しさを見せてくれたのはここまで。
その後に書いてある項目に、俺は思わず目を疑った。
「対戦相手は、アーリヤット皇国が指名する、だって…!?」
「しかも、三回戦とも全部、向こうが対戦相手を指名するらしいですよ」
「…こちらに選択権はないってことか」
おい。これの何処が正々堂々とした決闘なんだ?
不平等にも程があるぞ。
「そう書いてあるね」
ナツキ様から送られてきた、決闘のルール表。
そこには、決闘の審判はミナミノ共和国にいる軍属魔導師が行う、と書いてある。
…危惧していたが、やっぱり…。
「何これ。これじゃあ審判も向こうのグルじゃん」
すぐりが、あっけらかんとそう言った。
それなんだよ。
俺も同じこと考えてた。
「ミナミノ共和国は、言わずと知れたアーリヤット共栄圏の参加国…。つまり、アーリヤット皇国の子分のようなものです」
「子分と言えば聞こえは良いですけど、実質植民地ですよね」
イレースとナジュが、順番に言った。
植民地…は言い過ぎかもしれないが、でも間違ってはいない。
ミナミノ共和国は、アーリヤット皇国の縄張りだ。
わざわざそんなところに赴いて、しかも現地の魔導師を審判役に頼むなんて…。
俺達にとっては、アウェーにも程がある。
「間違いなく、審判は一方的に、アーリヤット皇国側に有利なジャッジをするでしょうね」
「そんな…。ただでさえ不利な状況なのに…。審判が中立じゃないなんて」
「開催地がミナミノ共和国ってだけで、全然中立ではないですけどね」
敵のホームで試合するんだもんな。
周りを見たら、何処もかしこも敵だらけだよ。
観客からブーイングが来ないだけ、気分的にはマシだろうか。
「…開催地がアーリヤット共栄圏なのは予想してたけど、僕はそれ以上に…決闘相手を向こうが指名する、っていう、このルールが気になるよ」
人間形態のマシュリが、ルール表の一項目を指差した。
開催地と日時のインパクトが強過ぎて、危うく見逃すところだった。
マシュリが指差した先には、決闘の対戦相手をどのように決めるかについて書いてあった。
えーと、何々?
決闘は一対一の試合を三回戦まで行い、二本先取した時点で、決闘の勝者が決まる。
成程、一回の試合で決まる訳じゃなく、三回戦まであるのか。
で、先に二本先取した国が勝ち。
一試合で国の命運が全て決まる、という恐ろしいプレッシャーからは開放されたけど…。
しかし、ナツキ様が多少の優しさを見せてくれたのはここまで。
その後に書いてある項目に、俺は思わず目を疑った。
「対戦相手は、アーリヤット皇国が指名する、だって…!?」
「しかも、三回戦とも全部、向こうが対戦相手を指名するらしいですよ」
「…こちらに選択権はないってことか」
おい。これの何処が正々堂々とした決闘なんだ?
不平等にも程があるぞ。