神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜
シルナはその紙に、さらさらと名前を列挙していった。

「ざっと思いつくのは…こんな感じ」

その紙に、シルナが考えた十人の名前が列挙してあった。

書いてあった名前は、

当然のように、まずはシルナ。
 
それから、俺の名前が書いてあった。

ちゃんと、羽久って。

良かった。俺だけ置き去りにしようものなら、この場で喧嘩しなきゃならなくなるところだった。

で、他のメンバーは…。

ベリクリーデ、ジュリス、吐月、天音。

キュレム、ルイーシュ、マシュリ、ルディシア。

以上十名である。

「…成程…」

まぁ、順当…って感じだが…。

「男尊女卑みたいな人選ですね。男ばっかりじゃないですか」

と、イレース。

違う、そういうつもりじゃなくて。

「一応、ベリクリーデさんがいるから…」

「十人中、女性は一人だけって。女に決闘は無理だって侮ってませんか?」

「いや、そんなつもりは…。だって、イレースちゃんには学院を守って欲しいし、シュニィちゃんには子供がいるし…」

シルナはしどろもどろになりながら、人選の理由を説明していた。

男だから、女だからとかではなく。

一応これでも、ちゃんと適材適所を考えて選んでるんだよ。

シルナなりにな。

「それから、他の女性魔導師と言えばクュルナちゃんだけど…。彼女は汎用性の高い魔導師で、戦うよりはどちらかと言うとサポート寄りの魔法が得意だし…」

「…」

普段の戦いだったら、クュルナみたいな汎用性の高いサポーター系魔導師の存在は、非常に有り難いのだが。

今回は、一対一の決闘だからな。

サポーターよりも、強力なアタッカーの方が分が良いだろう。

「そういう理由だから…。その、女の子だから選ばないって訳じゃなくて」

「…分かりましたよ。あなたなりの根拠があるんですね」

イレースは、溜め息混じりに納得して引き下がった。

ごめんな。

俺としても、イレースには決闘の代表者になるより、この学院を守って欲しいよ。

実力を疑う訳じゃないんだけど、どうしても。
< 485 / 699 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop