神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜
第24章
決闘が行われる会場となったのは、ミナミノ共和国の首都にある、国立競技場である。
この場所を指定したのも、勿論ナツキ様である。
他所の国を決闘の開催国に、しかも国立の建物を決闘会場に選ぶとは。
指定するナツキ様もナツキ様だが、引き受けるミナミノ共和国も大概だよ。
まぁ、ナツキ様は他所の国を決闘の会場にすることなど、何とも思ってないだろう。
最悪、ミナミノ共和国の国立競技場を破壊したとしても。
決闘にかかる諸費用は全て、賠償金も含めて、負けた方が支払う羽目になる。
ナツキ様は負けるつもりなんて欠片もないんだから、自分の懐が痛む心配もしてないだろう。
戦う前から勝った気になりやがって。良い気なもんだ。
目に物見せてくれるからな。
そんなナツキ様は、優雅に競技場の観客席の一番良いところに座って、俺達の撞着を待っていた。
「…来たか。ルーデュニア聖王国の負け犬共」
俺達の姿を見た、ナツキ様の第一声がこれである。
聞いたか?負け犬だってよ。
自分が万が一負けるかもしれないとは、微塵も思っていないご様子。
そりゃまぁ、ここまで自分に有利な条件ばかりが揃ってたら、勝ち誇りたくなるのも無理ないけども。
お高く留まりやがってよ。今に見てろよ。
「随分と余裕だね。どっちが負け犬か、やってみなきゃ分からないと思うけど」
「…ふん」
シルナが言い返しても、鼻で笑ってる始末。
何とも傲慢な王様だ。
「愚かだな、シルナ・エインリー…。その程度の安い言葉しか出てこないのか?」
それどころか、シルナを挑発する始末。
「あのとき俺の手を取っていれば、こんな負け戦に臨まずに済んだものを…。…今からでも遅くない。俺の前に這いつくばって許しを請うなら、この決闘を考え直してやらんこともないぞ」
だってよ。
強そうな言葉ばっかり言ってるから、なんか段々弱く見えてきた。
「君の方こそ、必死だね」
しかし、シルナはナツキ様の戯れ言など、全く意に介さなかった。
「自分のお膝元の国で、自分に有利なジャッジをする審判を立てて、決闘のルールも自分で勝手に決めて…。そんな有利な状況でいくら強そうな言葉を並べ立てても、少しも強そうには見えないけど」
その通り。
この人、さっきから自分が勝って当たり前みたいな顔してるけど。
実際、条件だけ見たら、あんたらが勝つのは当たり前だから。
むしろ、ここまで自分に有利な状況を作って負けたら、一生物の恥だろうってくらい。
偉ぶってんじゃねぇ。ガキかよ。
「私は君の手を取るつもりはないよ。むしろ、赤恥かかされる前に、謝るなら今のうちだけど」
「…」
ナツキ様は口元を歪めたような笑みを浮かべて、シルナの言葉を黙って聞いていた。
火花が見える。両者の間に、バチバチ燃える火花が。
これぞ決闘、って感じがしてきたな。
この場所を指定したのも、勿論ナツキ様である。
他所の国を決闘の開催国に、しかも国立の建物を決闘会場に選ぶとは。
指定するナツキ様もナツキ様だが、引き受けるミナミノ共和国も大概だよ。
まぁ、ナツキ様は他所の国を決闘の会場にすることなど、何とも思ってないだろう。
最悪、ミナミノ共和国の国立競技場を破壊したとしても。
決闘にかかる諸費用は全て、賠償金も含めて、負けた方が支払う羽目になる。
ナツキ様は負けるつもりなんて欠片もないんだから、自分の懐が痛む心配もしてないだろう。
戦う前から勝った気になりやがって。良い気なもんだ。
目に物見せてくれるからな。
そんなナツキ様は、優雅に競技場の観客席の一番良いところに座って、俺達の撞着を待っていた。
「…来たか。ルーデュニア聖王国の負け犬共」
俺達の姿を見た、ナツキ様の第一声がこれである。
聞いたか?負け犬だってよ。
自分が万が一負けるかもしれないとは、微塵も思っていないご様子。
そりゃまぁ、ここまで自分に有利な条件ばかりが揃ってたら、勝ち誇りたくなるのも無理ないけども。
お高く留まりやがってよ。今に見てろよ。
「随分と余裕だね。どっちが負け犬か、やってみなきゃ分からないと思うけど」
「…ふん」
シルナが言い返しても、鼻で笑ってる始末。
何とも傲慢な王様だ。
「愚かだな、シルナ・エインリー…。その程度の安い言葉しか出てこないのか?」
それどころか、シルナを挑発する始末。
「あのとき俺の手を取っていれば、こんな負け戦に臨まずに済んだものを…。…今からでも遅くない。俺の前に這いつくばって許しを請うなら、この決闘を考え直してやらんこともないぞ」
だってよ。
強そうな言葉ばっかり言ってるから、なんか段々弱く見えてきた。
「君の方こそ、必死だね」
しかし、シルナはナツキ様の戯れ言など、全く意に介さなかった。
「自分のお膝元の国で、自分に有利なジャッジをする審判を立てて、決闘のルールも自分で勝手に決めて…。そんな有利な状況でいくら強そうな言葉を並べ立てても、少しも強そうには見えないけど」
その通り。
この人、さっきから自分が勝って当たり前みたいな顔してるけど。
実際、条件だけ見たら、あんたらが勝つのは当たり前だから。
むしろ、ここまで自分に有利な状況を作って負けたら、一生物の恥だろうってくらい。
偉ぶってんじゃねぇ。ガキかよ。
「私は君の手を取るつもりはないよ。むしろ、赤恥かかされる前に、謝るなら今のうちだけど」
「…」
ナツキ様は口元を歪めたような笑みを浮かべて、シルナの言葉を黙って聞いていた。
火花が見える。両者の間に、バチバチ燃える火花が。
これぞ決闘、って感じがしてきたな。