神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜
「…ふん、好きに言え。どんな勝ち方だろうと、勝った方が正義だ」
ナツキ様は俺の野次には乗らず、相変わらず勝ち誇ったように鼻を鳴らして言った。
開き直りやがった。
開き直りやがったぞ。王様の癖に。
小学生かよ。
「お前達に拒否権はない。何度も言わせるな」
「…ちっ、お前…!」
好きに言わせておけば、勝手なことばかり…。
口喧嘩が始まりそうになった、そのとき。
「良いよ。僕が行く」
マシュリが、自らそう名乗り出た。
…マシュリ、お前…。
「良い…のか?向こうは散々、マシュリの対策をして…」
ナツキ様本人が言っているように、マシュリの手の内はバレているのだ。
その…マシュリが人間とケルベロスのハーフだってことも。
マシュリの真の姿…異形の姿のことも知ってる。
全部知った上で、あの女の子をマシュリにぶつけようとしているのだ。
あの子がどんな魔法を使うのかは分からないが、マシュリにとっては苦戦を強いられる、辛い戦いになるだろう。
正直、一回戦よりずっと…勝ち目は薄い。
それなのに…。
「いずれにしても、こちらに選択権はない。やるしかないよ」
「…それはそうだけど…」
「…精々、無様な負け方はしないように気をつけるよ」
…そうか。
マシュリが覚悟を決めてるなら、俺ももう何も言わない。
「無様に負けても一向に構わないから、死ぬなよ」
「…努力するよ」
あぁ、そうしてくれ。
お前が死ぬようなことがあったら、決闘に負けるよりずっと悪いからな。
俺達は、マシュリを決闘の場に送り出した。
一回戦の勝利に酔う間もなく。
いよいよ、二回戦の始まりだ。
ナツキ様は俺の野次には乗らず、相変わらず勝ち誇ったように鼻を鳴らして言った。
開き直りやがった。
開き直りやがったぞ。王様の癖に。
小学生かよ。
「お前達に拒否権はない。何度も言わせるな」
「…ちっ、お前…!」
好きに言わせておけば、勝手なことばかり…。
口喧嘩が始まりそうになった、そのとき。
「良いよ。僕が行く」
マシュリが、自らそう名乗り出た。
…マシュリ、お前…。
「良い…のか?向こうは散々、マシュリの対策をして…」
ナツキ様本人が言っているように、マシュリの手の内はバレているのだ。
その…マシュリが人間とケルベロスのハーフだってことも。
マシュリの真の姿…異形の姿のことも知ってる。
全部知った上で、あの女の子をマシュリにぶつけようとしているのだ。
あの子がどんな魔法を使うのかは分からないが、マシュリにとっては苦戦を強いられる、辛い戦いになるだろう。
正直、一回戦よりずっと…勝ち目は薄い。
それなのに…。
「いずれにしても、こちらに選択権はない。やるしかないよ」
「…それはそうだけど…」
「…精々、無様な負け方はしないように気をつけるよ」
…そうか。
マシュリが覚悟を決めてるなら、俺ももう何も言わない。
「無様に負けても一向に構わないから、死ぬなよ」
「…努力するよ」
あぁ、そうしてくれ。
お前が死ぬようなことがあったら、決闘に負けるよりずっと悪いからな。
俺達は、マシュリを決闘の場に送り出した。
一回戦の勝利に酔う間もなく。
いよいよ、二回戦の始まりだ。