神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜
「…いや、違うな」

あれこれと理由をつけて、それっぽいことを言ってるけど。

結局、私の選択基準は一つだけ。

正しいからじゃない。間違ってるなんてどうでも良い。

誰かの幸福とか、自分の名声の為じゃない。

ヴァルシーナちゃんや、ヴァストラーナ族長に対する義理立てじゃなくて。

私はただ、単純に。

自分が、一人になりたくない。

「…もう一度、君に会いたいと…願っても良いかな」

君に会いたい。君に触れて、名前を呼んで欲しい。

君の両目に、私の姿を映して欲しい。

これからもずっと、永遠に。

それだけだ。

私の願いはそれだけ。

それさえ手に入れば、他にはもう何も要らない。

石を投げられ、罵倒されても構わない。

私の本質は何も変わっていない。

あのとき、元の世界で選択を迫られたときと同じ。

私はただ、自分の為に…。

「…君と共に生きていきたい。正しくなんかなくても良いから」

…その為に私は、何度でも正しさに背を向ける。

何度同じ選択を迫られても、私は。





虚空に向かって伸ばした手が、白い光に包まれた。





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