神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜
「…ねぇ、ねぇ聞いてよ。チョコタルトなんだよ今日のおやつは。ねぇ。美味しいチョコタル、」
と、シルナが何か呟いてるような気がしたが。
「それであなた、今日は何しに来たんです?」
シルナの話などどうでも良いとばかりに、イレースが尋ねた。
実際どうでも良いしな。
「…天音君。皆がね、皆して私のこと無視するんだ。酷くない…!?いろりちゃんまで逃げるし。酷くない…!?」
「あ、はい。その、えーと…そうですね」
天音に慰めてもらっていた。
よし、放っとこう。
世の中、シルナのおやつより大事なことは山ほどある。
ルディシアが学院を訪ねてきた理由、とかな。
「別に特別な理由はないよ。暇潰しに来ただけ」
「それなら帰りなさい。子供の暇潰しに付き合っている暇はありません」
イレース、一刀両断。
身も蓋もないとはこのこと。
お前な…少しくらい相手してやれよ。忙しいのは分かるけど…。
折角、紆余曲折ありながらも、ルーデュニア聖王国に根を下ろす気になったのに。
ひねくれたルディシアが、また出ていったらどうするんだ。
すると、ナジュが横から口を挟んだ。
「まぁまぁ、そう言わず付き合ってあげましょうよ。どうやら彼、言いたいことがあるようですし」
…言いたいこと?
…って、何だ?
「そうだよ!いくら忙しくても、チョコタルトを食べていく時間くらいはあ、」
「言いたいこと?何です。さっさと言いなさい」
シルナには絶対に喋らせないという、固い意志を感じる。
「…天音君。イレースちゃんがね、私の話を聞いてくれない」
「そ、そうですか…。げ、元気出してください」
天音がいて良かったな。面倒臭いだろうに、いつもちゃんと慰めてくれてさ。
天音は優しい奴だよ。
「ってゆーかさー。ずっと気になってることがあるんだけど」
…と、横槍を入れてきたのはすぐりである。
こいつ、令月と一緒に、ちゃっかりチョコタルトをもぐもぐしている。
別に食べたきゃ食べれば良いけど…。どうせシルナのおやつだし。
「君、こんなとこにいていーの?」
…え?
「どういう意味だよ?すぐり…」
「だって、その人自分の国を裏切ってきたんでしょ?」
「報復されるんじゃないの?」
すぐりと令月が、当たり前のような顔をしてそう言った。
…お前らの常識では、それが当たり前なんだろうな。
それは理解出来るけど…。
「確かに、今のところアーリヤット皇国からは音沙汰なしですね」
「ルディシアさんが裏切ったこと、バレててもおかしくないでしょうに。まだ気づいてないんでしょうか?」
「気づかれたら…やっぱり何か言ってくるかな?戻ってこいとか…」
イレース、ナジュ、天音の順でそう言った。
戻ってこい…と言われるくらいなら可愛いもんだろ。
最悪…、
「戻ってこいじゃないでしょ。裏切り者は死の制裁を受ける。それだけだよ」
…敢えて口に出さないようにしていた「最悪」を、令月は躊躇いなく口にした。
…容赦ないよな、お前ら。
だが、令月とすぐりの二人もまた、己の生まれ故郷を裏切った身。
今だって、いつ報復として『アメノミコト』の刺客が送られてくるか分からない。
そんな二人の言葉なら、重みが違うというものだ。
と、シルナが何か呟いてるような気がしたが。
「それであなた、今日は何しに来たんです?」
シルナの話などどうでも良いとばかりに、イレースが尋ねた。
実際どうでも良いしな。
「…天音君。皆がね、皆して私のこと無視するんだ。酷くない…!?いろりちゃんまで逃げるし。酷くない…!?」
「あ、はい。その、えーと…そうですね」
天音に慰めてもらっていた。
よし、放っとこう。
世の中、シルナのおやつより大事なことは山ほどある。
ルディシアが学院を訪ねてきた理由、とかな。
「別に特別な理由はないよ。暇潰しに来ただけ」
「それなら帰りなさい。子供の暇潰しに付き合っている暇はありません」
イレース、一刀両断。
身も蓋もないとはこのこと。
お前な…少しくらい相手してやれよ。忙しいのは分かるけど…。
折角、紆余曲折ありながらも、ルーデュニア聖王国に根を下ろす気になったのに。
ひねくれたルディシアが、また出ていったらどうするんだ。
すると、ナジュが横から口を挟んだ。
「まぁまぁ、そう言わず付き合ってあげましょうよ。どうやら彼、言いたいことがあるようですし」
…言いたいこと?
…って、何だ?
「そうだよ!いくら忙しくても、チョコタルトを食べていく時間くらいはあ、」
「言いたいこと?何です。さっさと言いなさい」
シルナには絶対に喋らせないという、固い意志を感じる。
「…天音君。イレースちゃんがね、私の話を聞いてくれない」
「そ、そうですか…。げ、元気出してください」
天音がいて良かったな。面倒臭いだろうに、いつもちゃんと慰めてくれてさ。
天音は優しい奴だよ。
「ってゆーかさー。ずっと気になってることがあるんだけど」
…と、横槍を入れてきたのはすぐりである。
こいつ、令月と一緒に、ちゃっかりチョコタルトをもぐもぐしている。
別に食べたきゃ食べれば良いけど…。どうせシルナのおやつだし。
「君、こんなとこにいていーの?」
…え?
「どういう意味だよ?すぐり…」
「だって、その人自分の国を裏切ってきたんでしょ?」
「報復されるんじゃないの?」
すぐりと令月が、当たり前のような顔をしてそう言った。
…お前らの常識では、それが当たり前なんだろうな。
それは理解出来るけど…。
「確かに、今のところアーリヤット皇国からは音沙汰なしですね」
「ルディシアさんが裏切ったこと、バレててもおかしくないでしょうに。まだ気づいてないんでしょうか?」
「気づかれたら…やっぱり何か言ってくるかな?戻ってこいとか…」
イレース、ナジュ、天音の順でそう言った。
戻ってこい…と言われるくらいなら可愛いもんだろ。
最悪…、
「戻ってこいじゃないでしょ。裏切り者は死の制裁を受ける。それだけだよ」
…敢えて口に出さないようにしていた「最悪」を、令月は躊躇いなく口にした。
…容赦ないよな、お前ら。
だが、令月とすぐりの二人もまた、己の生まれ故郷を裏切った身。
今だって、いつ報復として『アメノミコト』の刺客が送られてくるか分からない。
そんな二人の言葉なら、重みが違うというものだ。