神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜
その知らせを受けたのは、シルナから死者蘇生魔法の話を聞かされた翌日。

またしても、教えてくれたのは生徒だった。

「グラスフィア先生。いろりちゃん、何処に行ったか知りませんか?」

そう聞かれたとき、俺は思わず言いそうになった。

「またか」と。

あいつは何だ。脱走癖でもあるのか?

こんな短期間の間に、何回脱走した?

令月とすぐりでさえ、もうちょっと大人しくしてるぞ。

「え…。またいないのか?」

「はい…。今朝のご飯はグラスフィア先生が持ってきてくれたプラチナ猫缶に、おやつのちゅちゅ〜るまであったのに…。全然姿を見せないんです」

それは一大事だぞ。

プラチナ猫缶とちゅちゅ〜るにさえ目もくれず、マシュリが姿を消すなんて。

「何処に行ったんだろう…?集会かな…?」

猫の集会って奴か?

何処に行ったのか…なんて、そんなの俺が聞きたいけど。

「…大丈夫だ。きっと、放課後までには帰ってくるよ」

気休めだと知りつつも、生徒を安心させる為に俺はそう言った。

根拠?ない。

だが、放課後までに連れ戻す。

ついでに、二度と勝手に出ていけないように、首にリードつけておいてやる。

俺はそう決意を固め、この知らせを伝える為に仲間達のもとに急いだ。
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