仮面ライダー クラウド
第1章 誕生
「よし。 エネルギーを充填してくれ。」
静かな部屋の中で黙々と作業を続けている男、彼こそ救難装備のスペシャリストと呼ばれた黒沼大輔である。
「充填完了。 充填完了。」 機械の乾いた声が聞こえた。
ここは国際特殊救難隊日本支部の装備開発部。 昨夜から数十人の科学者や隊員が見守る中でサイボーグ手術が行われていた。
「機械だけでは作業に限界が有る。 知能が有り即応できる装備を開発しなければ、、、。」 黒沼は数年前から試案を繰り返していたのだ。
そして行き着いた結論は人間を装備に改造することだった。 反対意見は根強かったが、彼の意志を妨げる者は居なかった。
三つのテクニカルパスワード、二つのシークレットパスワード、それらを組み合わせたテクニカルシークレットパスワードを解読した者、そして装備開発に25年以上携わっている者、、、。
これが改造免許を取得するための必須要件だ。 実は5年前にもクリアした男が居た。
しかし、彼は手術中の事故で死んだものと伝えられていた。
「新次郎君、京子さん、起きなさい。」 彼の呼びかけに二人の青年はゆっくりと起き上がった。
「黒沼さん、成功ですね!」 「いや、まだ分からない。 これからテストを始める。 まずは新次郎君だ。 バックル上のボタンを押しなさい。」
黒沼の命ずるままに新次郎はボタンを押した。 すると、、、。
眩い閃光の中からシルバーボディーのサイボーグが現れた。 「君は陸上 及び 空中の救難作業用サイボーグだ。 コードネームはクラウド。」
「クラウド、、、。」 「そうだ。 かなりの危険な作業も有るがよろしく頼んだぞ。」
見守っている人たちは一応に溜息を洩らした。
「続いて京子さんだ。 同じくバックル上のボタンを押しなさい。」
京子も彼に言われるままにボタンを押した。 すると、、、。
こちらは眩い閃光の中からメタリックブルーボディーのサイボーグが現れた。 「君は水上 及び 水中の救難作業用サイボーグだ。 コードネームはローザス。 よろしく頼んだぞ。
研究者たちは歓声を上げようとしたが、、、。
「まだまだこれからだ。 君たちの装備をテストする。 テストブースに来てくれ。」
この時、初めて顔を見合わせた二人は互いを知って絶句した。
「京子さん、、、。」 「新次郎君、、、頑張りましょうね。」
そう、二人は共に特殊救難隊機動捜査隊の隊員だった。
10年の勤務経験、それぞれの作業能力、そして不慮の事故を知った黒沼が選別したのだった。
テストブースに入った二人を見据えている不気味な黒い影が有ったが、もちろん彼らが知る予知など無かった。
「では、クラウドからテストを始める。 まずはシックスハンドだ。 今、装着しているのはスーパーハンド。 銀の腕だ。
打撃破壊力は5000トン。 変身当時に装着していることを忘れるなよ。」 「はい。」
続いてエレキハンド。 電子機器を自由に操縦士、6億ボルトの電子光線を発射する赤い腕。
続いて冷熱ハンド。 左腕からマイナス230℃の超低温ガスを、右腕からは8000℃の超高温火炎を噴射する緑の腕。
続いてパワーハンド。 300トンの重量物を押し戻し、3メートルの鋼板をぶち破る青い腕。
続いてレーダーハンド。 2キロ上空から150キロ四方の情景を視認でき、潜水艦も破壊する威力を持つレーダーミサイルを搭載した金の腕。
そしてマグネットハンド。 転落した機関車でも引き上げることが出来る白い腕だ。
実はスーパー1のファイブハンドを改良強化したうえで新たに黒沼が開発したマグネットハンドを加えたのである。
「いいか。 エレキハンドは人間にも反応する。 装着後は人間に絶対に向けないように。」 「分かりました。」
「ではバックル下のボタンを押しなさい。」 新次郎が押してみると、、、。
背中から二つ折りの翼が転回した。 「これはクラウドブースター。 成層圏を越えて電磁圏まで上昇することが可能だ。
それから3メートルの鋼板を切り裂くクラウドカッターとしても使うことが出来る。 さらに足底のジェット噴射によって最高速度はマッハ7. 空中救助には欠かせない戦力となるだろう。」
「さて、次はローザスだ。 こちらもシックスハンドが装備されているからそのつもりで。」
クラウドと違うのはエレキハンドと冷熱ハンドである。
その代わりに、、、。
ウォーターハンドは潜水艦でも切り裂いてしまう強烈なウォーターガンと水流をコントロールするウォーターナックルを射出する黄色い腕である。
そしてバブラーハンド、水没した車や船に空気を送り込む紫色の腕である。
「さて、バックル下のボタンを押しなさい。」 ローザスが指示通りにボタンを押すと背中からウォータージェットが顔を出した。
「これは水中を高速移動するのに必要な装備だ。 水中での救難活動は時間との戦いだからな。」
補足しておこう。 ローザスの足底にはウォータージェットの噴射口が在る。 背中の取水口から吸い込んだ水を足底の噴射口から噴射するのである。
「よし。 二人とも装備の確認は終わった。 裏の駐輪場にクラウドスターとローザスジェットを停めてあるから見てきなさい。」 黒沼は安心したように二人を見詰めていた。
その頃、本部の入り口では、、、。 黒服の男たちが銃を持って乱入してきた。
「何だ、お前たちは?」 「俺は黒沼さんに用が有るんだ。 通してもらおう。」
「アポを取っていない人間など通すわけにはいかない。」 「アポは事前に取ってあるんだよ。」
男は不気味に笑いかけると銃を乱射した。 近くに居た人たちがバタバタと倒れていく。
そして装備開発部に繋がる廊下が騒がしくなってきた。 「何の騒ぎだ?」
「やつです。 ドン石川が攻めてきました。」 「何だって?」
黒沼が廊下に出てみると、、、。 「やあ、黒沼先生。 お元気そうだね?」
「何をしに来たんだ?」 「言わなくても分かってるでしょう? サイボーグが完成したそうですなあ。」
「だから何を言いたいんだ?」 「おやおや? 私と手を組もうと以前から話しているではありませんか。」
「断る。 お前の魂胆は分かっている。 好き勝手にはさせんぞ。」 「私がおとなしいうちにお決めになったほうがよろしいですよ。」
「私の気持ちは変わらん。 帰ってくれ。」 「そうですか。 それなら仕方ありませんなあ。 死んでもらいましょうか。」
ドン石川は二弾銃を発射した。 「うわーーーーーーー!」
その悲鳴を聞きつけた京子と新次郎が駆けつけてきた。
「おやおや、サイボーグ諸君 今ここで反逆者 黒沼は処刑した。 私に逆らうとどうなるか思い知ったかね? ではまた会おう。」
「あいつはいったい、、、?」 「やつはドン石川。 数年前に事故で死んだことになっている研究者だ。 あいつは君たちを狙っている。 気を付けるんだぞ。」
それだけ言うと黒沼は息を引き取った。 新次郎は言い知れぬ怒りを拳に込めるのだった。
静かな部屋の中で黙々と作業を続けている男、彼こそ救難装備のスペシャリストと呼ばれた黒沼大輔である。
「充填完了。 充填完了。」 機械の乾いた声が聞こえた。
ここは国際特殊救難隊日本支部の装備開発部。 昨夜から数十人の科学者や隊員が見守る中でサイボーグ手術が行われていた。
「機械だけでは作業に限界が有る。 知能が有り即応できる装備を開発しなければ、、、。」 黒沼は数年前から試案を繰り返していたのだ。
そして行き着いた結論は人間を装備に改造することだった。 反対意見は根強かったが、彼の意志を妨げる者は居なかった。
三つのテクニカルパスワード、二つのシークレットパスワード、それらを組み合わせたテクニカルシークレットパスワードを解読した者、そして装備開発に25年以上携わっている者、、、。
これが改造免許を取得するための必須要件だ。 実は5年前にもクリアした男が居た。
しかし、彼は手術中の事故で死んだものと伝えられていた。
「新次郎君、京子さん、起きなさい。」 彼の呼びかけに二人の青年はゆっくりと起き上がった。
「黒沼さん、成功ですね!」 「いや、まだ分からない。 これからテストを始める。 まずは新次郎君だ。 バックル上のボタンを押しなさい。」
黒沼の命ずるままに新次郎はボタンを押した。 すると、、、。
眩い閃光の中からシルバーボディーのサイボーグが現れた。 「君は陸上 及び 空中の救難作業用サイボーグだ。 コードネームはクラウド。」
「クラウド、、、。」 「そうだ。 かなりの危険な作業も有るがよろしく頼んだぞ。」
見守っている人たちは一応に溜息を洩らした。
「続いて京子さんだ。 同じくバックル上のボタンを押しなさい。」
京子も彼に言われるままにボタンを押した。 すると、、、。
こちらは眩い閃光の中からメタリックブルーボディーのサイボーグが現れた。 「君は水上 及び 水中の救難作業用サイボーグだ。 コードネームはローザス。 よろしく頼んだぞ。
研究者たちは歓声を上げようとしたが、、、。
「まだまだこれからだ。 君たちの装備をテストする。 テストブースに来てくれ。」
この時、初めて顔を見合わせた二人は互いを知って絶句した。
「京子さん、、、。」 「新次郎君、、、頑張りましょうね。」
そう、二人は共に特殊救難隊機動捜査隊の隊員だった。
10年の勤務経験、それぞれの作業能力、そして不慮の事故を知った黒沼が選別したのだった。
テストブースに入った二人を見据えている不気味な黒い影が有ったが、もちろん彼らが知る予知など無かった。
「では、クラウドからテストを始める。 まずはシックスハンドだ。 今、装着しているのはスーパーハンド。 銀の腕だ。
打撃破壊力は5000トン。 変身当時に装着していることを忘れるなよ。」 「はい。」
続いてエレキハンド。 電子機器を自由に操縦士、6億ボルトの電子光線を発射する赤い腕。
続いて冷熱ハンド。 左腕からマイナス230℃の超低温ガスを、右腕からは8000℃の超高温火炎を噴射する緑の腕。
続いてパワーハンド。 300トンの重量物を押し戻し、3メートルの鋼板をぶち破る青い腕。
続いてレーダーハンド。 2キロ上空から150キロ四方の情景を視認でき、潜水艦も破壊する威力を持つレーダーミサイルを搭載した金の腕。
そしてマグネットハンド。 転落した機関車でも引き上げることが出来る白い腕だ。
実はスーパー1のファイブハンドを改良強化したうえで新たに黒沼が開発したマグネットハンドを加えたのである。
「いいか。 エレキハンドは人間にも反応する。 装着後は人間に絶対に向けないように。」 「分かりました。」
「ではバックル下のボタンを押しなさい。」 新次郎が押してみると、、、。
背中から二つ折りの翼が転回した。 「これはクラウドブースター。 成層圏を越えて電磁圏まで上昇することが可能だ。
それから3メートルの鋼板を切り裂くクラウドカッターとしても使うことが出来る。 さらに足底のジェット噴射によって最高速度はマッハ7. 空中救助には欠かせない戦力となるだろう。」
「さて、次はローザスだ。 こちらもシックスハンドが装備されているからそのつもりで。」
クラウドと違うのはエレキハンドと冷熱ハンドである。
その代わりに、、、。
ウォーターハンドは潜水艦でも切り裂いてしまう強烈なウォーターガンと水流をコントロールするウォーターナックルを射出する黄色い腕である。
そしてバブラーハンド、水没した車や船に空気を送り込む紫色の腕である。
「さて、バックル下のボタンを押しなさい。」 ローザスが指示通りにボタンを押すと背中からウォータージェットが顔を出した。
「これは水中を高速移動するのに必要な装備だ。 水中での救難活動は時間との戦いだからな。」
補足しておこう。 ローザスの足底にはウォータージェットの噴射口が在る。 背中の取水口から吸い込んだ水を足底の噴射口から噴射するのである。
「よし。 二人とも装備の確認は終わった。 裏の駐輪場にクラウドスターとローザスジェットを停めてあるから見てきなさい。」 黒沼は安心したように二人を見詰めていた。
その頃、本部の入り口では、、、。 黒服の男たちが銃を持って乱入してきた。
「何だ、お前たちは?」 「俺は黒沼さんに用が有るんだ。 通してもらおう。」
「アポを取っていない人間など通すわけにはいかない。」 「アポは事前に取ってあるんだよ。」
男は不気味に笑いかけると銃を乱射した。 近くに居た人たちがバタバタと倒れていく。
そして装備開発部に繋がる廊下が騒がしくなってきた。 「何の騒ぎだ?」
「やつです。 ドン石川が攻めてきました。」 「何だって?」
黒沼が廊下に出てみると、、、。 「やあ、黒沼先生。 お元気そうだね?」
「何をしに来たんだ?」 「言わなくても分かってるでしょう? サイボーグが完成したそうですなあ。」
「だから何を言いたいんだ?」 「おやおや? 私と手を組もうと以前から話しているではありませんか。」
「断る。 お前の魂胆は分かっている。 好き勝手にはさせんぞ。」 「私がおとなしいうちにお決めになったほうがよろしいですよ。」
「私の気持ちは変わらん。 帰ってくれ。」 「そうですか。 それなら仕方ありませんなあ。 死んでもらいましょうか。」
ドン石川は二弾銃を発射した。 「うわーーーーーーー!」
その悲鳴を聞きつけた京子と新次郎が駆けつけてきた。
「おやおや、サイボーグ諸君 今ここで反逆者 黒沼は処刑した。 私に逆らうとどうなるか思い知ったかね? ではまた会おう。」
「あいつはいったい、、、?」 「やつはドン石川。 数年前に事故で死んだことになっている研究者だ。 あいつは君たちを狙っている。 気を付けるんだぞ。」
それだけ言うと黒沼は息を引き取った。 新次郎は言い知れぬ怒りを拳に込めるのだった。
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