蜜別居?(2年振りに逢った旦那は隣に住んでました!浮気相手と一緒じゃなくて良かったです!)
「ちょっと飲み物足りないから買って来て」

賑わうリビングで母から頼まれて一番場違いな私が買い出しにいく事に。

「奏ちゃんごめんね。ふふっ」

義母の意味深な笑いが気になりはしたけど酔ってるだけと受け取って実母のサンダルを履いて家を出た。

10月も終わり11月に入るとスウェットでも正直肌寒い。

自転車はやめよう!
運動がてらの歩きを選択して近くのコンビニを目指してゆっくりと馴染みの道を歩く。

家族間が仲良しなのは良いけど別居中の現実に申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

結婚生活の3年も別居後の2年も大きい。
我慢して居たら孫の顔を義父母に見せられてたかも知れない

「この間はお互い気の迷いでやっちゃっただけだし結婚生活中じゃ無理だったかも」

もう1ヶ月近くになる初めての行為は記憶の中から薄れる事なく残ってる。
あれから隣に住んでる瀬名とは西館のエレベーターで会ったきりでその後存在すら感じない。

「引越しするのも手かな」

繁忙期を前に引越しは無謀と思えるけど今は楽に引越し業者がやってくれるらしい。


プップー!!


通り過ぎた車にクラクションを鳴らされて狭い道路の出来るだけ端を歩く。
歩いて10分のはずのコンビニは歩幅の小さい私には案外遠い。

「身長低いと歩幅も関係するのか」

150cmの身長は昔から伸びる事もなく私と共に生きてきた。
通学路のこの道を喧嘩しながら瀬名と歩いたのも20年以上前の話。

歩くスピードに追いつけなくて悔し泣きする私の所まで戻って「ほら」と小さい手を出し一緒に歩いてくれた時期もあった。

「あの頃は私も素直だったよな」

瀬名とレストランに行った時に「ほら」と言われたのを思い出した。

「いつまでゆっくり歩いてんだよ」

「いつもいつも何で居るのよ」

コンビニの前で腕を組む瀬名の姿に驚きながらも駆け寄った。
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