蜜別居?(2年振りに逢った旦那は隣に住んでました!浮気相手と一緒じゃなくて良かったです!)
「蘇芳のヤツとはいえ男とマンションから出て来たのを見た瞬間…殺意を覚えた」

物騒な事をめちゃくちゃ笑顔で言う瀬名の方が、

「頭おかしい…」

「おかしくて悪かったな。何にせよあんな奏見たら我慢出来なくてがっついて優しく出来無かった」

生まれて一度も魅力があると思った事がないから瀬名の言葉に首を傾げる。

そして一番聞きたかった事を口にした。

「でも夏生さんとホテルに入る所見たんですけど。証拠もある!」

瀬名の腕から抜け出して携帯を取り出して目の前に証拠を突きつけた。

「瀬名は仕方なく私と結婚したと思ったからコレを見た時に問い詰める事も出来なくて離婚するなら早い方が良いと思った!」

フンッと鼻息荒く突きつけては見た物のスッキリしない。

こんな上辺だけの陳腐な言葉を口にする為に2年間も別居したの?

こんな事を言いたかったわけじゃない。
携帯をテーブルに置いてずっと口に出来なかった思いの言葉を吐き出した。

「…凄くショックだった」

建前と上辺の言葉を諦めて本音を口にする。

「ショックだったの?」

瀬名はじっと見つめてるだけでゆっくり話す私を急かさず穏やかに微笑んだ。

「結婚して私が居るのにって…でも私がお互い自由な生活をって初めに言っちゃったから本音が言えなくて」

ポロポロと本音が口から溢れ出す。
話しながら瀬名を見ると微笑みを笑顔に変えた。

「俺も似た感じだよ。実は結婚を急いだのは親達じゃなくて俺だったし」

「瀬名が結婚したかったの?!」

親からの圧力で結婚したのかと思ってた。

「ずっと奏が好きだったからね。奏は俺を好きじゃないと思ってた」

「そうなの?どうして」

「お前、俺と話す時、喧嘩越しだったから」

照れもあったのは認める。
他の女の子と同じになりたくなくて喧嘩口調だったのも認める。

「だから他の人と付き合ったりもしたけど結局奏しか居ないって思い知らされて…親が言ってた結婚を前倒しにする事にした」

真剣な瞳でゆっくりと私に告げて唇を寄せてくる。
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