蜜別居?(2年振りに逢った旦那は隣に住んでました!浮気相手と一緒じゃなくて良かったです!)
「ありがとうございました。彼女にも悪いのでこれで失礼します」

「お前は…本当に意味わからん」

隠し事も嘘もどうでも良い。
私達はとっくに破綻してる。
これみよがしに置かれた女性用のシュシュに少しズキッとした胸の痛みを気づかない振りして席を立ち上がった。

「とにかく!これから他人として宜しく。お詫びはまた持ってくるんで」

「まだ籍は入ってるけどな」
「早く届け出せば良いじゃん」
「こっちだって事情があるんだよ!」
「面倒臭ッ!」

玄関で5cmのヒールを履きながら捨て台詞のようにぶつけて振り返る事なくドアノブに手をかけた。

瞬間…クルっと身体が反転して気付いた時には

「まずは泊まり賃これで良いや。奏またな」

キスをされ身体を解放した目の前にヤツの嫌味なほど綺麗な顔がニヤリと笑った。



一般家庭の橘(たちばな)家とお金持ちの安見家は実家が隣同士で身分差関係なく親同士はすこぶる仲が良かった。

チャラい瀬名と真面目な奏
仲が良かったのは幼稚園までで小学校に入れば喧嘩ばかり。
中学校に入ると背はさほど高くは無いが可愛い系の瀬名はモテていつも隣に女の子達が居た。

「ムカつくーーーー!!!!!!!」

瀬名の部屋側の壁にクッションをおもいきり投げつけると棚からアルバムが落ちてしまって開いたページの自分と瀬名の写真を見て苦笑いをしてしまった。

生きた化石
黒髪ボブに黒縁メガネ。
小さい身長にぽっちゃりの私。
絵に書いたような真面目な私。

「ははっ…良く私と結婚したよねー」

今でこそ髪は長く少し茶色くしてメガネはコンタクトになったけど大きく変わらない。
身長とぽっちゃり体型も変わらない。

私の生活は大して変わらないのに別居してからの瀬名は雑誌に掲載されたり自分で立ち上げた会社は初めは実家の手助けがあったとは言え今は自分の力で経営を順調に拡大しつつ色々な面で輝いてる。

「まあ過去は過去!仕事は頑張れば見返りがあるし一人で生活して行くには困らない」

自分を鼓舞してシャワールームに急いだ。
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